夫婦にダマされ日掛け金融で150万円の借金。社長夫人が「返済のためソープで働く」まで
お金が絡めば、人の本質がよくわかる。筆者は複数の「日掛け金融」に勤務してきたが、日々そのことを実感する。ちなみに日掛け金融とは、個人・法人を問わず経営者のみを対象に貸付をおこない、債務者から毎日集金をしていた特殊な金融会社である。
小野寺勉さん(仮名・40代前半)は派手なスーツや柄シャツを好むタイプで、妻の美由紀さん(仮名・30代後半)はブランド品が好きな女性だった。勉さんは、人を連れてきては「保証人、連れてきたからカネ貸して~!」と、まるで定食を注文するように借金を重ねる胡散臭い男性だった。
「いや~、俺もさ。昔みたいにひと花咲かせようと思ってんのよ。ここだけの話、水栓トイレの開発にもちょこっとかかわってさ、あのとき商標だか特許だかを知ってたら今頃、大金持ちだったんだよなぁ。無知だったから、この有様なわけだけど」と、常にウソか本当かわからないことを話していた。
怪しいヤツ感は半端ないのだが、話が面白いからか退屈はしない。話は大袈裟なのに、会社の名前や自分が開発したという商品の説明をするときはやけに真剣で具体的。それが周りを引き込むのだ。
「私があの夫婦と知り合ったのは、妻である美由紀さんが営む小さな化粧品店が出していた求人広告です。時給もまあまあだったし、裏通りに面していてお客さんも少なくラクそうな印象だったので応募しました。応募理由は、クレジット会社への返済のためです」
そう切り出したのは、小さな会社を経営する堅実な夫と2人暮らしで、20代半ばのM子さん。夫とは、M子さんが働いていたスナックで知り合った。やさしくて真面目なうえに玉の輿だと飛びついたが、実直すぎる夫との暮らしは社長夫人とはいえ退屈そのもの。
「気がついたら、収入証明のいらない範囲いっぱいまでお金を借り、ブランド物を買い漁るようになっていました。ハイブランドではなく、少し高めのローブランド。それでも、買ってはリボ払いを繰り返すうち、あっという間に返済が難しくなりました」
今回は「プロの詐欺師」と呼ばれたある夫婦について紹介する。なお、個人の特定を避けるために、名前は匿名とし特定できないように事実を一部加工している。
「プロの詐欺師」と呼ばれた夫婦
怪しい夫婦と知り合った20代女性
フリーライター。複数の金融業者に長く勤務。レアで波乱な人生経験を送ってきた
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