仕事

健康アピールは意味がない!?「死ぬまで働く」高齢者のライフプランが破綻してしまう理由

人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、今回は老後のキャリアプランの落とし穴を解説する。 活躍し続けるシニアの話を聞くと、やる気があれば80歳でも90歳でも活躍できるように思ってしまうが、「活躍し続けられるはず」という計画は、実は危険だ。様々な数値をもとに、意外と知られていない老後プランのリスクについて紐解いていく。
nakajima

「シニアジョブ」代表の中島康恵氏

ずっと働き続ける老後の落とし穴

皆さんは、何歳まで働き続けるプランを描いているだろうか? 実は知らず知らずのうちに、無理のあるプランを描いてしまっている人も多い。今回はそんな危険な老後の働き方プランについて解説したい。 現在、公的年金は貰える年齢が段階的に65歳に引き上げられているが、本人が希望すれば、さらに貰う年齢を繰り下げて、その分、貰える金額を上げることができる。その繰り下げの上限が法改正によって2022年4月から、それまでの70歳が75歳までに拡大したことをご存知だろうか? もちろん、70歳から年金を貰うよりも、75歳から貰ったほうが1回に入金される金額は増える。そして、定年を廃止する会社も少しずつ増えている。 また、住宅ローンの完済年齢の平均はすでに70代前半に上がっており、そうした背景も働き続ける年齢を押し上げる。 ならば自分は体力に自信もあるし、75歳や80歳まで働くプランを描くぞ、という方もいるかもしれないが、そう簡単にはいかない、というのが今回の話だ。

意外と働き続けられる期間は短い?

まず、冒頭で触れた公的年金の繰り下げ受給だが、もし、年金を貰い始める年齢を75歳まで繰り下げたなら、65歳で貰う通常の場合に比べて最大で84%も増額する。 こう聞くと、75歳まで年金を貰わずに頑張るのが得なように感じるが、そうとは限らない。実は、長生きせずに亡くなってしまうと、65歳から年金を貰うよりも損する場合があるのだ。75歳から年金を貰い始める場合、86歳より前に亡くなってしまうと、65歳から貰い始めるよりも貰える総額が少なくなる。 厚生労働省の令和4年簡易生命表によると、2022年の数値は男性が81.05歳、女性が87.09歳だ。これでは年金を貰うのを75歳まで繰り下げても得とは言えない。 さて、平均寿命も重要だが、寿命が続いていても要介護などとなり健康が損なわれては働けない。総務省の令和4年版高齢社会白書によると、2019年時点での健康寿命は男性が72.68年、女性が75.38年となっており、75歳まで働き続けるには、男性はもとより女性でも心もとない。逆に言えば、70歳くらいまでは多くの人が元気で働けると考えられる。 つまり、寿命は確かに延びているが、それでも最後の10年前後は、働きたくても健康上の問題で難しい可能性が高くなる。老後のライフプランやキャリアプランを描く上では、こうした期間も計算に入れておく必要がある。 もちろん、この話はあくまでも「平均」なので、80歳でも90歳でも元気で働き続けられる人も入れば、60代で健康を損ない、働くことが難しくなる人もいるだろう。重要なのは、60歳以降はいつ健康の変化が起きても不思議ではないので、そうした覚悟も含めた計画を前もって立てておくことだ。
次のページ
元気な人とそうでない人では「15歳以上」の差?
1
2
おすすめ記事