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健康アピールは意味がない!?「死ぬまで働く」高齢者のライフプランが破綻してしまう理由

元気な人とそうでない人では「15歳以上」の差?

シニア

写真はイメージです

上記でも「個人差」の話をしたが、実際に老後は「健康の個人差が大きくなる」というデータがある。 中央労働災害防止協会「生涯現役社会の実現につながる高年齢労働者の安全と健康確保のための職場改善に向けて」の報告書が引用している斎藤一氏と遠藤幸男氏の「高齢者の労働能力」によると、生理的年齢の個人差が65歳では16年、75歳では18年に広がるとされている。 つまり、実年齢が同じ75歳の人でも、65歳くらいの体力や健康の人もいれば、80歳以上と同じような体力や健康の人もいるということだ。当然、65歳と同等の体力や健康であれば、75歳でも十分に仕事で活躍できる。しかし、80歳を過ぎたような体力や健康状態であれば、同じ75歳でも本人もつらく、仕事のパフォーマンスも期待できないだろう。 雇用側もこうした個人差を理解する必要があるが、本人も自分の状況を常に考えながら、ライフプランとキャリアプランの修正をしていかなければならない。

個人差は大きくても健康アピールに意味はない?

実際に私たちシニアジョブが支援するシニアの人たちを見ても、同じ年齢でも健康や体力、能力はバラバラだ。急に大きな病気を患う人もいるし、通院を続けているものの大きな不調にはならずに活躍し続ける人もいる。 こうしたシニアの特性は、当然ながらシニア採用の現場でも重要な問題になる。ただし、選考時には「健康アピール」をするシニアも多いが、それはあまり効果がないことを付け加えておく。自己申告はアテにならない上に、今健康でも急変するかもしれないので、採用企業にとっては参考にならないからだ。 誰もが75歳以上まで活躍し続けられるわけでなく、老後は健康の個人差が大きくなり、急変することもあるので、それも覚悟したライフプラン・キャリアプランが必要になる。そのうえで、健康維持はあくまでも自身で努力するものと考え、選考時はあくまで職務能力で勝負することを心がけてほしい。
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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