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政治、野球、宗教の話を他人としてはいけない…ネット黎明期からのルールに“新ジャンル”が加わった

「ニュースオバさん」を避けることに成功した僕。しかし……

 仕方がないので朝6時に散歩に出ることにした。さすがに2時間は待っていなかったからだ。この時期の朝6時となるとすでに朝日が昇り始めていて周囲は明るく、鳥のさえずりも聞こえる。家の前で掃除している人、ランニングしている人、たくさんの人に出会う。暗闇の中をヒタヒタと歩くスタイルとは異なるけど、これはこれで爽快だ。  ニュースオバさんにも出会うことなく、気分爽快な散歩を楽しむ。そんな日が続いたとき、異変が起こった。  ニュースオバさんを避けるために6時に散歩するようになったとはいっても4時には目が覚めているので、2時間ほど時間を潰す必要がある。原稿を書いたりしていると、突如としてそれが起こった。  ピンポーン。  朝4時にインターホンが鳴る。これは皆さんが想像する以上に怖い。普通はこんな早朝に来客はない。逮捕をしにくる警察は早朝に来るとは聞くけど、さすがに朝4時には来ない。ビクビクしながらモニターを見る。ハウスマヌカンみたいな恰好の女性が犬を連れて立っていた。

なぜ僕の家を知っているのか

「ニュースオバさんだ!」  なんで僕の家を知っているのか。なんで我が家にまでやってきたのか。っていうか怖い。殺されたりしちゃうんじゃないか。いままで色々なニュースを伝えてきたけど、最後のニュースはアンタが殺されるニュースだよおおおおおおおおおみたいになるんじゃないか。ガクガクと震えてきた。 「す、すいません、なんでしょうか」  ドアの前で騒がれたりしても近所迷惑になると思い、反応する。 「ごめんなさいね。最近、朝に会わないから、病気でもしてるのかと思って」  オバさん的には急に会わなくなったから心配になったらしい。なぜ僕の家を知っていたのかはともかく、そこまで心配させてしまったのは悪かったなあという気持ちになってしまった。 「すいません、ちょっと忙しくなって夜更かし気味になってしまい、起きるのが辛くなったんですよ」  無難に嘘をついてなんとかその場を収めることに成功し、オバさんも帰っていった。まあ、朝4時に家に来られるのは非常に怖いものがあるのだけど、姿が見えないからと心配してもらえるのはありがたいことだ。また無難な話題っぽいニュースがあるときに会いに行ってみるかと、ぼんやりと考えていた。
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今度は「ビッグニュース」を伝えに再来したオバさん
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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