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個人経営の居酒屋を見下す迷惑客。「安いからしゃーないか」発言を後悔するまで

 リーズナブルな価格で上質なサービスが受けられると、外国人からは驚かれることも多い日本。けれどこの国で生まれ育った私たち日本人のなかには、そういった状況が当たり前だと勘違いし、文句や暴言まで吐き散らすという迷惑な輩も少なくないようだ。
居酒屋イメージ

※写真はイメージです

 小規模だが農園を営む両親からの援助もあり、40代前半で勤めていた会社を早期リタイアした早生沙織さん(仮名)。両親の農園で採れた野菜を中心に料理を提供する飲食店をオープンさせた。リーズナブルな価格設定にし、母と2人で切り盛り。

酔っ払いの50代男性客に困惑

「閉店後は毎日、農園で採れた野菜をネット販売することに注力しました。オープンからしばらくは、経営も順調。お客さんもおいしいと喜んでくれ、充実した毎日を送っていたのですが、夜の時間帯にやってくる50代後半ぐらいの男性客に悩まされるようになりました」  その男性客は、同世代ぐらいの男性と2人でやってきては、焼酎を注文して愚痴を言い合う。さらに2人はお酒に弱いのか、減りがすごく遅く、2杯目の水割りを飲み終える頃にはすっかりベロベロ。そして声も大きくなり、テンションも上がっていくのだ。 「それだけならいいのですが、しばらくすると、提供した料理や店内の雰囲気について罵りはじめるのです。『この店の料理は安すぎて不安』『ヤバイものを使っているかも』とか、冗談でも言ってほしくないようなことばかり。それだけではありません」

「酒のつまみだから食べれる料理」

 ほかにも、「どうせ捨てるカスみたいな肉や野菜を使っているんだろ」「こんな料理なら、俺でもできる」、「たいしてウマくない」「酒のつまみだから食べれる料理。単体では無理」「安いからしゃーないか」など言いたい放題。 「さらに、暗めに設定している照明についても『ケチケチせずに電気ぐらい明るくしろ!』と調理場に向かって言ってきたり、私たちに直接言ってきたりするのです。母も私も苦笑いしながらあしらい、どうにかその場を切り抜けていました」  精神的にはキツかったが、我慢できたひとつの要因としては、2人の来店時間帯が遅いこと。2人が愚痴りはじめる頃には常連のお客さんがチラホラいるぐらいだったため、心が折れそうになりながらも耐えられたのだ。
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いつものように料理をけなしはじめた迷惑客
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ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5
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