仕事

「レンタルおじいちゃん」は定年後も稼げるバイト。“謝罪代行”で1時間10万円の案件も

シニアの人生経験が生きる「お叱り代行」

少し変わった案件としては、お叱り代行なんてものも……。 「『もっと成長するために敢えて叱られたい』という人からオファーがくるんです。シニアの方は言葉のバリエーションが多くて叱るのが上手いため重宝されていますね」(石井氏) また、ギャラ以外の点から、シニアたちに人気の高い案件は「イベントの観客代行」だとか。今までの興味のなかった世界に触れることができるため、新しい生きがいを見つけるきっかけにもなっているのだ。 「弊社の案件をきっかけにアイドルの推し活に目覚めたり、現場を通じて新しい友達ができた話をよく耳にしています。徐々に知り合いが減っていく年齢でもあるため、寂しさを抱えているシニアは多く、代行業を通じて新しい人生の楽しみを見出しているようです」(石井氏) 時間の融通が利くシニアは、イベント主催者側からもありがたい存在だ。では、スタッフ登録をするにあたっての必須条件はあるのだろうか。

登録は清潔感と高齢者らしさがあればOK

「ある程度の清潔感、そして“高齢者らしさ”です。違う自分を演じることやその場の雰囲気を楽しめるならどなたでもOKです。クライアントには、それぞれに合わせたサービスを提案しているため、いろんなシニアが必要なので間口は広くしています」(石井氏) それぞれの仕事に細かなマニュアルが存在しており、結婚式のスピーチの原稿なども自分自身が用意することもない。会社からの指示通りに遂行すれば基本的には問題ないという。 「プロの役者になる必要はありません。台本がない分だけ、人生の経験が活かされる仕事です。スピーチなど+αの業務がある場合はギャラもプラスされますよ」(石井氏) 自分の世界も広がり、お金も稼げるレンタル業。時に祖父になり、父になり、頼りがいのある上司になれば、老後も稼いでいけそうだ。 【ファミリーロマンス代表取締役 石井裕一氏】
ファミリーロマンス

ファミリーロマンス代表取締役 石井裕一氏

介護福祉士や広告代理店勤務などを経て、代行サービス業の株式会社ファミリーロマンスを創業。著書に『人間レンタル屋』がある <取材・文/もちづき千代子>
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