更新日:2023年12月27日 17:00
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「何かがあるたびに母親がお尻を叩く棒を」40代元DV加害者が明かす、壮絶な生い立ちと暴力の連鎖

受け継がれてきた“暴力の連鎖”

――そういう経験が、中島さんの基盤になってしまっている。 中島:はい。当時は、そういう環境が僕自身とても嫌だったので、自分は絶対にそうはならないようにしようと思っていたのですが結局、僕はそれしか家庭を経験しておらず、正解を知らないんですよね。だから、自分が親になった時には、結局自分が見たことや、体験したことをやってしまうんです。 ――具体的にはどのようなことを? 中島:例えば子供に向けての罰ですね。「勉強しなかったら今日は遊べないよ」と言葉での脅迫だったり、何かをやらかした時に頭を叩いたりと、母親にやられたのと同じようなことを「それが教育なんだ」と思ってやっていましたね。

DV加害者の更生プログラムの実態

カウンセリング

※画像はイメージです

――実際にプログラムを受け始めて、どうでしたか? 中島:最初はすごく怖かったです。毎回20~30名の前で、自分はDVの加害者だということで顔を出すことに抵抗がありました。ただ、実際に出てみると、参加者はみんな普通の人なんです。俗に言う柄の悪い人なんて全然いなくて、普通の会社員の方に見えて、そこが意外でした。だけど初めの頃は他の人の話を聞くのがやっとでしたね。 ――受けていくうちに、心境の変化はありましたか? 中島:プログラムは、海外でいう断酒会のような形で進んでいくのですが、毎週顔を合わせて、他の人の1週間の振り返りを聞いていると、自分では体験していないようなことを聞けるタイミングがあるんです。例えば、70代くらいの参加者の方が「もう子供は育て終えたけれど、ずっと後悔している」というお話をされていたり、自分よりも長くプログラムを受けている方が、自分自身の成長を報告してくれたりする。それが、とても刺激になりました。  今までは「自分1人でなんとかしなくてはならない」というプレッシャーがあったのが、同じ悩みや苦しみを抱えて向き合っている人たちと一緒になって目標に向かっていけることで勇気づけられました。
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妻や子供への接し方が変わった瞬間
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