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「家には居場所がなかった」渋谷の“ヤマンバ”ギャルが結婚・出産、母親となった今思う“家族の大切さ”

 平成ギャルがトレンドになっている昨今。見た目だけではなく精神性にも注目が集まり、ポジティブに自分らしさを貫くマインドが支持されているという。そうした再ブームで気になるのは、かつて渋谷センター街を賑わせていたギャルたちの今だ。10代・20代を謳歌していた彼女たちは、年齢を重ねてどのような女性になっているのだろう。
あぢゃ

ギャル雑誌で“ヤマンバ”モデルとして活躍したあぢゃさん(40歳)

 かつて“ヤマンバ”スタイルで人気を博したあぢゃさん(40歳)。00年に『Popteen』モデルとしてデビュー後、富士急ハイランドのCMにも起用され話題に。奇抜なファッションでお茶の間に強烈なインパクトを与えた。それから20年以上経った現在、あぢゃさんは二児の母として忙しい日々を過ごしているという。そんな彼女にヤマンバ時代から現在に至るまでの心境の変化について話を聞いた。

ギャルになる前はヤンキー。反抗期だった学生時代

あぢゃ「子どもはほんっとに可愛い〜〜!」   筆者が子どもについて聞くと、あぢゃさんはすぐさま満面の笑みをこぼした。目尻が下がった優しげな表情は、ヤマンバ時代には想像もつかないほどに“母”の顔だ。  テレビ番組で“渋谷の若者”を象徴する存在として注目され、ドラマや映画では反抗的なイマドキ女子高生役を演じることもあったあぢゃさん。いち視聴者としては「自由奔放で怖いもの知らず」というイメージもある。実際はどんな学生時代を過ごしてきたのだろうか。 「ヤンキーだらけの地元で育ったので、それに影響受けて中学時代の反抗期はすごかったです。受験期でも夜な夜な遊んでばっかりで。私が原因で学校から親が呼び出されることもありましたね」  そんな彼女がギャルに目覚めたのは高校に入ってからのことだという。 「親や先生の言うこともろくに聞かずに、名前を書けば入れるような東京の私立高校に入ったんです。そしたらクラスがギャルばっかりで! 私もその頃ギャルに憧れてたので、すぐに髪を明るくして高校デビューしました。放課後は必ず渋谷に行ってましたね」  トレンド最先端の女子高生たちが集まる渋谷。地元にはない刺激がそこにはあった。初めは渋谷109(マルキュー)に行くことすらドキドキしたそうだが、センター街で遊んでいくうちに街にも慣れ、あらゆる場所へと顔を出すようになったとか。  そのうち周りの個性的なギャルたちに刺激され「ここでいちばん目立たないと意味がない!」と“ヤマンバ”スタイルへ。いつしか渋谷でも噂される存在となり、気がついたら友だちの輪も広がっていたという。  そんな充実した渋谷生活を過ごしていたあぢゃさんだが、一方で家族との関係は希薄になっていた。

「家には居場所がなかった」中学生にして訪れた母の死

 
ヤマンバ

“ヤマンバ”時代のあぢゃさん(提供写真)

「高2で高校を退学させられて通信制の学校に入ったんですけど、それからはもう渋谷に入り浸ってましたね。友だちの家で寝泊まりしてそのまま渋谷に出かける生活で。家にはほとんど帰らなかったです」  渋谷という街は、女の子たちの遊び場であり、居場所を求める若者たちが集う場所でもあったという。それぞれ家庭環境はバラバラ。しかし「家に帰りたくない」という思いはみんな同じだった。  あぢゃさんもそのひとり。実家に居場所はなかった。 「ママを亡くしたショックをどうしたらいいのかわからなかったんですよね。家に帰ればひたすらパパにあたって、ひどいことをたくさん言って」  母を癌で亡くしたのは中学2年生の頃。母の死後、あぢゃさんは後悔の念に駆られていた。八つ当たりをしてしまったこと、変わり果てた姿を見るのが嫌でお見舞いに行けなかったこと、素直な気持ちを伝えられなかったこと……。  反抗期真っ只中だったあぢゃさんは、闘病中の母に強く当たることが多かったそう。抗がん剤の副作用で弱る母の姿に不安が募り、つい心無い言葉をぶつけてしまったこともあった。  まだまだかまってほしい。甘えたい気持ちが非行や暴言へと向かわせた。しかしあぢゃさんの母は、彼女を決して見放さず、最後にはいつも優しく抱きしめてくれたという。  まだ幼い彼女にとって、そんな母の喪失はあまりに耐え難いものだった。現実を受け止めきれず、玄関で母の帰りを待っていたこともあったという。  しかしもう戻ってこない。どうにもならない気持ちをひとりで抱えきれず、心憂さをすべて父にぶつけた。
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すれ違う親子関係
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1994年生まれ。リアルサウンド編集部に所属後、現在はフリーライターに。『リアルサウンド』『日刊サイゾー』などで執筆。またnoteでは、クォーターライフクライシスの渦中にいる20代の声を集めたインタビューサイト『小さな生活の声』を運営している。

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