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カップかき氷「サクレ」冬の舞台裏、夏に向けた商品開発は“ある種の賭け”でもロングセラーが続くワケ

「夏といえばサクレ」が広まり、ブランドリニューアルを敢行

歴代パッケージ

サクレレモンの歴代パッケージ

 こうした背景があるなかで、フタバ食品がサクレレモンの大幅なリニューアルを敢行したのは2008年のこと。 「時代によって変わる味の嗜好に合わせ、少しずつ甘さや酸味のバランスを調整し、商品改良してきたサクレレモンを、よりお客様に求められる商品にするために、パッケージや味を一新しました。  ありがたいことに、“夏といえばサクレ”と言われることが多くなり、ブランドが大きくなるにつれて、お客様の期待も大きくなっているのを感じていました。そのため、試食やモニター調査でお客様の声を聞き、味のブラッシュアップを行うのはもちろん、店頭のショーケースで、サクレと一目でわかるようなビビットな色合いのパッケージに変え、ロゴもカタカナ表記「サクレ」からアルファベット表記「SACRĒ」に変更したんです」
サクレ

「サクレチョコレート」(2015年)と「サクレトマト」(2018年)

 三上さんの言うお客様へのアンケートは、2008年以降から実施しており、レギュラー商品(現在はレモン、あずき、パインの3種)に次ぐその年限定の商品を開発する際の参考にしているという。

期間限定品を当てる難しさ。“過去のリベンジ商品”を出したことも

サクレパイン

2022年に期間限定品として発売し、現在はレギュラー商品の「サクレパイン」

 だが、「“4品目”を当てるのはなかなか難しい」と三上さんは言う。 「直近では、2022年に限定フレーバーとして出した『サクレパイン』が大当たりし、それまでレギュラーだった『サクレオレンジ』を下ろし、通年販売に切り替えたのが一番の成果でしたね。毎年、お客様からいただく要望の中で、最も人気の高いフレーバーを商品化できればいいのですが、そうともいかないわけで。試行錯誤しながら、最大限お客様が食べたくなるような商品づくりを意識しています」
サクレマンゴー

「サクレマンゴー」は2017年(左)と2023年(右)では、味やパッケージが全く異なる

 ちなみに、2017年に発売した「サクレマンゴー」は、夏らしさあふれるフレーバーだったのにもかかわらず、お客様のニーズに応えきれなかった“不完全燃焼”を感じていた。  その悔しさを晴らすため、2023年に再びサクレマンゴーを出したという経緯があるという。
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夏を見据えた商品の作りだめは、ある種の“賭け”
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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