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カップかき氷「サクレ」冬の舞台裏、夏に向けた商品開発は“ある種の賭け”でもロングセラーが続くワケ

夏を見据えた商品の作りだめは、ある種の“賭け”

 さらに、商品開発の苦労はもとより夏に向けての“作りだめ”も、サクレにとっての勝負どころになっている。  サクレの販売における年間スケジュールとして、その年の夏場からモニターを開始し、翌年の準備を進めているという。  そこで得た味に対する反応をもとに、商品開発チームにオーダーを入れ始める。そして、11月下旬〜12月にかけては流通先との商談が活発化し、翌年の販売量や商品単位(SKU)が決まっていき、年明け1月から商品の製造および在庫の確保に入っていく。  冬場は翌年の販売に向けての重要な時期に変わりはないが、「果汁やシロップの配合、氷の削り方など、製造工場に一度案内したものは変えられない」からこそ、長年の知見や勘が大事になるそうだ。 「モニター調査の声のほか、夏の気温や湿度を意識した商品づくりを行うんですが、当然、人によって温度の感じ方は変わりますし、翌年の夏がどんな気候になるかも予想できない。これは、ある種の“賭け”だと思っています。ただ、よほど冷夏にならない限り、温度的な“外し”はないので、例年では広く万人が美味しいと感じる味に落ち着きますね」

いずれは通年販売するお店も増やしたい

サクレ夏フェスタ

2022年、2023年には「サクレ夏フェスタ」と題し、千葉県の千葉市稲毛海浜公園内にある大型レジャー施設「SUNSET BEACH PARK INAGE」にてプロモーションを実施した

 2024年はサクレ発売39周年を迎える。「サ(3)ク(9)レ」の語呂合わせとサンキューの意味を込めた記念の年として、プロモーションを強化していくとのこと。 「2024年の39イヤー、2025年の発売40周年と、サクレブランドにとって節目の時期が続くので、さらにお客様から愛されるカップかき氷を目指し、いろんな施策を通してファンを増やせるように尽力していければと思います」  サクレの主な販売時期はおおよそ3月~10月までの間だが、最近では通年販売するお店も徐々に増えてきているそうだ。  さらに、商業施設などとのコラボ施策を通じて、新たな価値の創造にも取り組んでいる。競争激しいアイス市場の中で生き残るための努力と工夫。これこそが、ロングセラーの秘訣なのではないだろうか。 <取材・文・撮影(人物)/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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