旧車のペイントもアート作品として海外から高評価

※写真は「仏恥義理 旧車★天国」より。以下同
前置きが長くなりましたが、旧車(車・バイク)のペイントもアート作品として海外では絶賛されており、特に東南アジアやアメリカでは日本の族車をオマージュして乗っている方々も増えています。

なんと「旧車會」という存在を海外でもつくり、日本の旧車をカスタムして楽しんでいる人までいる状況なのです。

美しいペイントが施されたヘルメット
その中でも今回ご紹介したいのは旧車乗りには欠かせない「ヘルメット」のアート作品です。彼らは「暴走族」ではないので、基本的には交通ルールを守り、ヘルメットを着用したうえでツーリングなどをしているのですが、そのヘルメットにも並々ならぬ“こだわり”が感じられます。
彼らが被っているヘルメットの大半が「コルク半」と呼ばれる、キャップのようにツバがついている帽子のような形状のものなのですが、そのコルク半も単車のボディ同様、それぞれが自分の発想を活かし、こだわりのペイントを施しているというわけです。

ヘルメットのデザインにそれぞれの個性が見られる
定番のパターンとしては、単車のペイントに合わせたデザインです。アニメのキャラクター、清涼飲料水のパッケージ、自分の子供の名前や似顔絵、飼っているペットの顔……個性的なデザインが多々あります。
基本的には旧車會の世界で有名なペイントショップに発注をしているようですが、自分で塗装する方もいらっしゃいます。ひとつ仕上げるには何十万円という費用がかかるとのことですが、彼らにとって自分の感性やアイデアを旧車を通して表現することは、なにものにも代えがたい喜びがあるようです。

以前は旧車會といえば、40代〜50代の方が多かったのですが、現在は若い男女も増えています。特に女性の旧車乗りの方たちはラメなどを使ってキラキラなコルク半に仕上げてファッションとして楽しんでいらっしゃいます。携帯電話をギャルがデコレーションするような感覚でしょうか。

旧車乗りには若い女性も増えている
ティーンズロードの時代には「喧嘩上等」「硬派」などをキーワードに、あくまでイカつい単車に乗ることがカッコいいという風潮でしたが、今や「可愛い」「アート」「センス」「アイデア」の部分が重視されている気がします。これも令和の旧車會の特徴かもしれません。
私が今、客観的に感じているのは外見だけを見て「暴走族」「ヤンキー」=「悪」と決めつけてしまって良いのかということです。

何度もいいますが、暴走行為や犯罪に関しては「問答無用で容認できない」。ただし、彼らの中にある「目立ちたい」「人と違う何かを表現したい」というパワーは、使い方さえ間違えなければ、世界に通用するものを生み出す可能性を秘めています。
「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」で成人式ヤンキーファッションが評価されたように、日本のカルチャーが世界から注目されているのは間違いないので、すべてを否定するのではなく、良い部分を伸ばせる環境があるといい気がします。皆さんはどう思われますでしょうか。
<文/倉科典仁(大洋図書)>
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「
ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「
men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。