更新日:2024年12月04日 15:12
エンタメ

伝説のセクシー女優が“出演を決意した”経緯「3本くらい出て普通の社会に戻るつもりだった」

男女間の「性にまつわるトラブル」がなくならない理由

 AV女優としての表舞台以外にも性の提供が去就に影響する――そんな世界を目の当たりにした小室氏は、こんな感想を口にする。 「スポンサーに対して性的な快楽を提供することが当然視された世界だったのだと思います。少なくとも影響力のあるメディアに足がかりを作りたかったら、当時は自らの性を捧げることは珍しくなかったのでしょう」  男女で性についての認識をすり合わせることは難しい。現代でこそ“ハラスメント”という言葉が普及したが、それでもなおトラブルが絶えることはない。多くの男女間のトラブルについて傾聴してきた小室氏は、その原因についてこう考える。 「ジェンダーギャップを埋めるのは容易ではありません。昔から根強く存在する言葉に『嫌よ嫌よも好きのうち』というのがありますが、大抵の場合、女性の本心は『嫌よ嫌よはマジで嫌』なんです。しかしそれが理解されないまま、いわば男性が性行為をなかば強引に行う口実として用いられてきた歴史がありますよね。こうした認識のズレが性被害の根底にはあるのではないかと思っています」

“男女でゴールが違う”ことを認識すべき

 また、社会における女性の役割もたぶんに男性側の願望と幻想にまみれている。 「日本においては長らく、『男が女を誘う』という構図がノーマルとされてきました。女性の側からみれば、男性の誘いを断ることによって恥をかかせてしまうという危険性を常にはらんでいます。それだけではなく、社会が女性に対して“誘われる美徳”を押し付け、奥ゆかしく淑女であることを求めたのは事実だと思います」  女性は“待つ”側でいることを強いられる一方、男性からの誘いを断るのは相当な勇気を要する。しかも、性行為に至ったあとも、男女には決定的な違いがあるのではないかと小室氏は指摘する。 「非常に乱暴な言い方をすれば、男性のゴールは射精で、女性のゴールは性行為にまつわる時間全てなのではないかと思っています。だから性行為からしばらく経って男性からの扱われ方に不満を抱くこともあるでしょう。おそらく女性が『モノ扱いされた』と感じるとき、性行為や事後の時間を含めての評価を指しているはずです。けれどもそれがわからないから、男性は『性行為に応じたじゃないか。モノ扱いなんてしてないんだ』と議論が平行線になるのではないかと考えています。同じ時間を過ごしても、ぞんざいに扱われたという印象が色濃くなれば、女性にとっては苦しみの時間に変わるのです
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AVは子どもにとって「刺激が強すぎる」からこそ…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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