更新日:2024年03月06日 13:26
仕事

“読んでみないと分からない”からこそ…人気デザイナーに聞く、「漫画の表紙」ができるまで

“読んでみないと面白さが分からない”からこそ…

――漫画の表紙の役割についてどう考えていますか? 白川:どんなに内容が面白い作品であっても、まずは手に取って、めくっていただかないと読者さんには伝わらない。ですので、作品の世界観を表紙でパッとわかるように、なおかつ魅力的に表現しないといけないと考えています。 ――書店では基本的に背表紙が並びますが、この部分はどのようにされているのですか? 白川:作品のタイトルが引きのあるタイトルだとガッツリ読ませて、そうでなければ、読めなくても面白そうなものに見えるようにしています。 ――白川さんにとっての良いデザイン・悪いデザインとは何ですか? 白川:良い悪いという表現は好きではないのですが、好ましく思うデザインはコンセプトがしっかり伝わるデザインかと思います。学生時代は広告のデザインなどを見るのが好きでした。コンセプトがしっかり伝わるのに、パッと見た時の印象もインパクトがあるデザインというのは見ていて本当に気持ちがいいです。逆にいうと伝わらないデザインというのは、悪いというか、役割を果たしていないとは思っています。

「作家が一番大切にしていること」を引き出したい

――仕事をする上での一番大事にしていることは何ですか? 白川:上記でもお話ししていますが、作品ごとの魅力はどこなのか、どういったアウトプットがいいのかを考えるのはもちろんのこと、この仕事を続けていて昔より強く思っていることとしては、「作家さんがその作品で一番大切にしていること」をもっと引き出してあげたいと思っています(多くの場合、それが作品の魅力と直結しているのですが)。弊社はデビュー作をやらせてもらう機会も多いですし、それが最初で最後の一冊になる場合もあるわけなので、作家さんにとっても大切な一冊になっていただきたいと思っています。 ――今後、やってみたい仕事はありますか? 白川:動画はやったことがないのでやってみたいです。仕事でなくとも、モーションロゴなど今年は作ってみたいなと漠然と思っています。 ===== 膨大な数の漫画作品が存在する現代において、手にとって読んでもらうだけでも容易くはない。どんなに内容が面白い作品であっても、読んで貰わなければ意味がない。だからこそ、漫画の顔である表紙は重要な役割を担っている。今回の取材を通じて、私たちが何気なく読んでいるその一冊の裏側には、デザイナーの数多の工夫や努力が詰まっていることがよくわかった。今後、漫画を読む際には意匠をこらした装丁にも注目してみるというのはいかがだろうか。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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