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ロレックスが新作を発表。「中古相場に与える影響」を腕時計投資家が分析

新作発表時に発覚するもう1つのこと

シリーズ廃止状態となったヨットマスター2

シリーズ廃止状態となったヨットマスター2

 さて、新作発表時に「判明」することがもう1つあるのですが、それが「生産終了」になったモデルであります。現在では、ロレックスの公式サイトから消滅するということが、すなわち「生産終了」を意味することになっているわけですが、今年消滅したのが「ヨットマスター2」であります。 「ヨットマスター2」は、2007年に登場したスポーツ系モデルの最高峰で、当時のロレックスとしては唯一、複雑機構(=レガッタクロノグラフ)が搭載されたモデルであります。ヨットマスター2登場まで、ロレックスはあえて複雑機構モデルを用意しないといった印象があったため、ヨットマスター2が登場したときは衝撃的だったといえます。  また、ヨットマスター2はデビュー時に、イエローゴールドとホワイトゴールドのみの展開。ステンレスはラインナップされておらず、超高級なロレックスというイメージとなっていました。  ちなみに、ヨットマスター(1)もデビュー時には、イエローゴールドモデルしかラインナップされていなかったわけで、「ヨットマスター」というシリーズは、最高級スポーツモデルといった役割を担っていたといえます。  しかし、近頃のヨットマスター系のラインナップは、必ずしも「最高級」というわけではなく、かつてのようにK18のみのラインナップでもありません。ただ、定価の観点でヨットマスター2は、最も高値(同じ素材同士の比較において)といった傾向がありました。  とはいえ、デイトナに用意されるような「シェル」や「ダイヤ」といった高級素材文字盤の展開もなく、また、プラチナ素材のモデルも最後までラインナップされず。2015年頃まで、ヨットマスター2の中古相場は「高値」といった雰囲気があったものの、近頃では「WGモデルが、K18素材の中古相場としては異例なほど安価」となるなど、ヨットマスター2への注目度が以前よりも低くなっているといった状況があったといえます。  そして、ヨットマスター2は、今年後継モデルが出ることなく、シリーズが廃止となったわけです。

生産終了発覚で高値となるか?

 生産終了となると「中古相場が一気に高くなる」という現象が起こる場合があります。例えば、2017年にシードゥエラーの126600が発表された際、生産終了になった116600は一気に相場が上昇しました。  116600は、2014年に登場した6桁世代のシードゥエラーであるわけですが、「ディープシー」と「サブマリーナー」の中間といったキャラクターであるため、生産終了前時点では、特に相場が高いといった傾向はありません。しかし、2014年のデビューから3年程度の期間で生産終了になったことから、2017年に生産終了となった際、一気に相場が上昇したのです。  しかし、その一方で相場が上昇しないという場合もあります。先程もお伝えしたように、去年の新作発表ではデイトナが一斉モデルチェンジを実施したわけですが、その際、生産終了が発覚した前モデルのデイトナは、そのほとんどが「反応しなかった」といえます。  つまり、去年の生産終了発覚時に、116500LNといったデイトナの人気モデルの中古相場が「目立って変動する」という現象が起きなかったわけですが、デイトナほどの人気モデルでも、こういった「無反応」ということがあるのです。  また、去年の新作発表時では、ミルガウスの116400GVが公式サイトから消滅。その結果、「ミルガウス」はシリーズ廃止となったわけですが、これもまた「無反応」でした。  ミルガウスは、1990年頃から2007年まで一度シリーズ廃止となった時期がありましたが、その際、「幻のモデル」といった印象で、1019といったミルガウスの中古相場がものすごく高値となっていたのです。  そして、そういった注目度ゆえか、ミルガウスは2007年に復活。当初、116400GVは、新品実勢価格が180万円程度となるなど、当時のデイトナ相場(最も高いSSモデルだった116520黒文字盤が140万円程度)からしても、びっくりするぐらい高値となっていたわけです。  しかし、その翌年リーマンショックが発生し相場は暴落。その後、116400GV含め、ミルガウスの相場はデイトナよりも安価となり、気づけばロレックススポーツモデルの中で下位に位置するといった様子になっていきました。  それが、2023年に再び「シリーズ廃止」となったわけですから、ミルガウスは2006年以前と同じ状況に戻ったといえるわけです。それでも、ミルガウスの中古相場は変化することがなく、現在相場も1年前とそこまで大きく変わらないという状況になっています。  さらに、今年シリーズ廃止が発覚した「ヨットマスター2」についても、今のところ中古相場が反応する様子はありません。  近頃は、生産終了になったとしても「相場が一気に上昇する」といった傾向がなく、新作発表が中古相場に与える影響は以前よりも弱まっているといえる状況なのです。
ロレックス

2023年の新作発表は3月27日。その際、デイトナ116500LNの生産終了が発覚したが、相場が上昇した様子はない

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新作が中古相場にもたらす影響
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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