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ロレックスが新作を発表。「中古相場に与える影響」を腕時計投資家が分析

新作が中古相場にもたらす影響

 さて、もう1つ、新作が中古相場にもたらす影響があるといえます。それは、新作発表によって注目された結果、「人気モデルの地位が入れ替わる」という点であります。  例えば、今年の新作発表の場合、約5年ほど廃止状態となっていたGMTマスター2の「黒ベゼル」が復活したわけですが、仮にそれが注目されたならば、「過去モデル含め、黒ベゼルのGMTマスター2の中古相場が上昇」という現象が起こるわけです。  とはいえ、黒ベゼルのGMTマスター2は今のところ「目立った注目」となっている様子がないといえるため、GMTマスター2の「人気要素」が現在王者の「青赤」から「黒」に変わるということは今のところ起こっていないといえます。  かつては、新作発表時に「人気モデルの天変地異が起こる(例:2016年のデイトナ発表時に、人気文字盤色が黒⇒白に変化)」とか、「生産終了が発覚したモデルが急上昇する」などの現象が見られましたが、ここ3年4年ぐらいにおいては、あまりそういった現象が見られないといえます。  とはいえ、昔も「生産終了になったのに上昇しなかった」という場合があるため、今後も、新作発表時に相場が変わらないということが続くとは限りません。  おそらくですが、最近の新作発表時に相場変化が起こらないのは、以前は珍しかった要素(例えば、短期間で生産終了となるモデル)が珍しくなくなったといった事情があるように思います。ただ、状況はいきなり変わるということもあるため、今後の新作発表では「相場が一変」とか「人気モデルが変わる」といったことが起こっても不思議でないでしょう。

短命モデルだからこそ、希少価値が付くことも

 最後に補足ですが、2021年以降においても、「生産終了」で上昇したモデルがあります。それが、デイトナのメテオライト文字盤(2021年登場版)であるわけですが、こちらはデビューから2年での生産終了となりました。こういった“短命モデル”は、今やロレックスでは珍しくないわけですが、「メテオライト文字盤」という高級要素と希少性が『生産終了で高値』ということをもたらしたのだと思います。  また、昨年の新作発表から約3ヶ月後の2023年6月に発表されたデイトナのスペシャルモデル、126529LNが今年の新作発表時に「生産終了」がアナウンス。126529LNはスペシャルモデルだけあって、生産終了発覚前の中古相場は3500万円といった水準でしたが、わずか9ヶ月程度の“超・短命なスペシャルモデル”となったため、おそらく相場が上昇すると予測できます。  こういった特別感が強いモデルの一部では、2021年以降も「生産終了」による相場上昇が稀に起きている様子があるといえます。<文/斉藤由貴生>
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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