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“偉大なる”水原一平にひれ伏すしかない、そんな気持ちにさせられるおっさんたちの不幸自慢大会

しかし、風俗嬢がはいていた下着は何と……

 そしていよいよ女のコが来た。大興奮の釜石さん、さっそく俺が持ち帰る下着を見せてもらいましょうかね、と女のコを脱がせた。そこで驚愕した。 「男物のボクサーパンツだった」  完全に男物なのに、女の子は「私の私物の下着だよ、中学の時からこれ」と言い張るらしい。結局、けっこう高額なオプション料を支払い、男物の下着を持ち帰ることになったらしい。 「それは不幸だな。俺より不幸だ」  徳山さんがやや安堵した表情を見せた。どうやら、パンティ持ち帰りが男物だったは二千円札で出禁より不幸らしい。その辺の尺度はまったく理解できない。 「次は俺の番だな。俺はさ、さいきん通っている風俗掲示板で気になる書き込みを見かけたんだ」  次に語りだしたのが横原さんだった。横原さんもかなりの風俗マニアだ。事前に掲示板での情報収集をかかさない用意周到な男だ。 「その掲示板ではさ“おまかせコスプレ”というオプションが流行っているんだよ」  本来はセーラー服などと自分の好みと性癖を考慮してオーダーするコスプレオプション、それを完全に店側にお任せにするオプションが一部のマニアの間で流行しているらしい。 「これをやると店側のセンスがわかるんだよ」  店側のセンスが分かってどうなるのかはさておき、例えば、おまかせコスプレを指定して、女の子が体操服を持ってくると「この店はセンスがいい」となるらしい。逆にセーラー服などを持ってくると「ベタな選択、凡夫」となるらしい。その基準はよくわからないけど、そういうものらしい。

風俗嬢がしてきたコスプレはなんと……

「それでよ、この店はどういうセンスしてるかなと“おまかせコスプレ”をオーダーしたらしい」  そうしてやってきた女のコ。横原さんもワクワクしながら、部屋を真っ暗にし、プレイが始まるギリギリまでなんのコスプレなのか言わないでくれと念を押したらしい。そしていよいよプレイが始まる。コスプレに着替えた女のコがバスルームからやってくる。ついにくる。いったいどんなコスプレか。 「作業着だった」  完全無欠の作業着だったらしい。 「加藤鉄工所って胸元に刺繍あった」  たぶんガチのやつだ。  あまりセクシーさを感じられない作業着コスプレに落胆したけど、本当の不幸はここからだった。横原さん、プレイが進むにつれてけっこう興奮してしまったらしく作業着アリだな、となったのだけど、どうやらイレギュラーなコスプレだったらしく、指定のコスプレに入っていない。おまかせコスプレを指定しても体操服とかばかりで作業服が来ない。結局、けっこう気に入ったのに二度と指定できなくなったらしい。 「それは不幸だな。気に入ったコスプレを指定できないなんて」  徳山さんはご満悦だ。どうやらこれはかなり不幸なことのようだ。
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風俗嬢にアレを売りつけられてしまったおっさん
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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