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“偉大なる”水原一平にひれ伏すしかない、そんな気持ちにさせられるおっさんたちの不幸自慢大会

風俗嬢にアレを売りつけられてしまったおっさん

「では次は俺が」  満を持して出てきたのが栗下さんだ。ってかおまえらなんでそんな平然と風俗店の不幸エピソードが出てくるんだ。 「やってきた風俗嬢とトレーディングカードの話で盛り上がったのよ」  栗下さんは、やってきた女の子とトレーディングカードの話で盛り上がったそうだ。なんでも、その女の子はカードの転売でしこたま稼いでおり、すごく簡単だからやったほうがいいと熱烈に勧められたらしい。 「そうして、簡単に利益が出るというカードのセット30枚くらいをけっこうな値段で買わされた」  けれども、それは真っ赤な嘘で、利益が出るどころかそのカードを転売しようと試みてもほとんど売れなかったらしい。 「まさか風俗嬢に騙されるとは」  そう嘆く栗下さん。 「これは最大級の不幸だ」  徳山さんはもう完全に自分の不幸を忘れていた。 「いやー、やっぱ自分より不幸な人の話を聞くと安心するな。風俗嬢に騙されて30枚もカードを買う、これより不幸なことはないだろ」  そう語る徳山さんに、僕はどうしても伝えなければならなかった。 「報道によると通訳の水原さんは、転売のために大谷選手の金でプロ野球カード1000枚を約5000万円で買っていたっぽいです」  30枚がチンケに思える枚数。 「ほんと、とんでもねえ男だよ、水谷(水原)は」  そう呟く徳山さん。他の一同は黙りこくってしまった。  あまり不幸のスケールが大きすぎて、俺より不幸なやつがいるしいいか、と考えるタイプの人にとってはその不幸のレンジがあまりに大きくなりすぎてしまう。ジョーカーのような存在の水原氏に全員がただただ畏怖するしかなかった。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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