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「みんなで手をあげるやつ、今日はやめましょうか」星野源の“提言”にSNS上で賛否が分かれるワケ

「みんなで手をあげるやつ、今日はやめましょうか」

 星野源の“提言”が話題になっています。5月4日に行われた『VIVA LA ROCK2024』で、観客に対して「みんなで手をあげるやつ、今日はやめましょうか」と呼びかけ、好きなように踊ってほしいと訴えたのです。  ロックのコンサートをよく知らない人のために説明しましょう。「みんなで手をあげるやつ」とは、観客が手をパーの形でかざして、曲のリズムに合わせて前後に動かす応援スタイルのことです。音楽ライブ以外でも、プロ野球の応援団やサッカーのサポーターなどが、エールを選手に届けようという具合にやっているのを見たことはないでしょうか? あれです。  邦楽ロックのライブやフェスではおなじみとなり、一部では揶揄する声もあがる珍風景となっているのです。  星野の発言に対するSNS上の反応は様々でした。特に「自由」というキーワードをめぐって意見が割れた様子。皆一様に同じ動きをするのはロックの「自由」から程遠い行為なのだから星野源はよく言ったと称賛する人もいれば、逆にみんなで統一した動きをしたいと思う「自由」だってあるのではないかと考える人もいて、それぞれにうなずける点がありました。

星野源の考える「自由」とは?

 では星野自身の考える「自由」とは何なのでしょうか? 5月7日放送の『星野源のオールナイトニッポン』で、こう語っています。 <ライブをしていて楽しくて。本当にみんながすごくたくさん踊ってくれたり、歌ってくれたり。もちろん、休んでる人もいたし、めっちゃ踊ってる人もいたし。なんかね、それぞれですごい楽しんでくれてる感じがあって、それがすごい嬉しくて。>  つまり、各々の気の向くままに、個人の裁量で音楽を楽しむことを「自由」だと言っているのですね。きっとイギリスのグラストンベリーフェスティバルみたいな雰囲気をイメージしているのでしょう。大人らしく遊んでくださいねと。そのうえで、“みんな自分で考えましょう”と呼びかけて、実際に観客は応じたわけです。  ただ、意地悪な見方をすれば、星野源という大物アーティスト=力を持つ者のご託宣に従っただけじゃんと思わなくもないのですが……。
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「手をあげる」ノリ方は日本人に合っている?
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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