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「宇宙ゴミを除去する日本企業」華々しい宇宙開発に期待の一方、上場することの“危うさ”も

 

「月面着陸失敗」前後で大きな明暗が…

 宇宙開発で記憶に新しいのが、月面輸送のispace。2023年4月12日に新規上場しました。公募価格254円に対して、初値は3倍の1000円。上々な滑り出しでした。しかし、上場直後の4月26日に実施した月面着陸ミッションに失敗します。  株価はミッション開始前の4月19日に一時2373円の高値をつけましたが、失敗のニュースに売りが殺到。5月12日には一時793円の安値となりました。その後、騰落を繰り返したものの、現在も700円台で推移しています。  月面着陸失敗の直接的な原因は、ソフトウェアの不調によるもの。推定高度と測定高度に乖離が生じ、猛スピードで月面に衝突したのでした。  しかし、その後にフィナンシャル・タイムズが、ispaceの離職率が高いことや、エンジニアと経営陣に溝があってプロジェクトの見直しを言い出せない雰囲気があったなど、組織体制に問題があると報じました。  上場日が4月12日で、ミッションを行ったのが4月26日。スケジュールを伸ばすという経営判断はしづらかったでしょう。離職率が高いと言われていた通り、ispaceは月面着陸船の開発から7年以上の時を経ても、従業員の平均継続年数が2.18年と長くありません。  宇宙開発事業はエンジニアが無我夢中で開発に取り組めるような、経営者の求心力が必要です。経営陣は常にモチベーションの高い状態に保っていなければなりません。  上場すると内部告発に対するダメージが非上場企業よりも格段に大きくなります。アストロスケールの平均継続年数は1.5年。全社共通の社員でエンジニアではありませんが、決して長いものではありません。  一見華々しく見える宇宙開発ですが、上場にはマイナス要素も多く含んでいます。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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