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Amazonがヤマトの“契約切り”を好機と捉える理由「人手が足りない業界」で独自流通網を構築中

「軽自動車を持つ人」が配送事業者として独立できる時代に

アマゾン 段ボール

Koukichi Takahashi – stock.adobe.com

 個人事業主との関係を強化しているのが、アマゾンジャパン。実は2024年問題を見越して、国は輸送事業に関する規制緩和を行っていました。これまでは配送に特化した軽貨物車(軽バン)が必要でしたが、軽乗用車での輸送が可能となったのです。アマゾンは2023年10月に事業用ナンバープレートを取得した軽乗用車による商品配送を始めたと発表しました。それが「アマゾンフレックス」です。  公式ホームページによると、1時間の最大報酬額は軽貨物車で1886円、軽乗用車で1650円。積載量による差が生じているものの、大差はありません。軽バンは中古市場でも値段が下がりづらく、少なくとも60万円程度の投資が必要です。初期投資がなく、自家用車の黒ナンバー化で迅速に事業を始められることを考えれば、割のいい仕事だと言えるでしょう。  フードデリバリーは、都市部では変わらず人気を博しているものの郊外は下火。既存の配達員はポートフォリオの一つにアマゾンフレックスを取り入れることもできます。

独自の物流ネットワークを構築、活用するアマゾン

 また、アマゾンはドロップシッピングという仕組みを構築しています。これは、販売事業者が商品の仕入、在庫保管、配送などを行うことなく、顧客に商品を届けられるというもの。アマゾンがメーカーや卸売業者から商品を仕入れて配送するのです。  この仕組みは、要するにアマゾンの配送ドライバーがメーカーなどから商品を集荷して顧客に届けているだけであり、他社に物流網を提供していることになります。アマゾンはすでに物流ネットワークを活用する方向へと駒を進めているのです。  アマゾンにとって、ヤマトの個人事業主の一斉契約解除は物流網を強くするチャンスに映ったかもしれません。  個人事業主は時間外労働の上限規制には影響を受けません。需給調整もしやすく、企業にとってはメリットの大きい存在なのです。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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