仕事

東大卒の25歳男性が農業に可能性を感じたワケ。「いつまで経っても低い“農家の収入”を打開したい」

自身が培ったノウハウを農業でも実践したい

――具体的な“勝算”を教えていただけますか。 米利休:東大入学から2年目のとき、私は休学をしてビジネスを立ち上げました。もともとは学業が忙しいなかで収入をどう確保するかを考えた結果です。また、当時はコロナ禍の自粛期間などとも重なって、オンラインでできるビジネスを選びました。具体的には通販サイトを作ること、それからYouTubeをはじめとしたSNSのコンサルティングサービスです。月の売上がもっともいいときは、大卒の初任給の3倍以上にはなったと思います。  こうしたノウハウを活かして、SNSを駆使してもっと消費者に直接届く仕組みを作りたいんです。現状、農家は収穫したお米を農協や業者に預け、それを流通させます。しかし自社で販路を確保できれば、収入アップにつなげられます。ただ現在はあまりの重労働と担い手の高齢化によって、オンラインでダイレクトに消費者にアピールすることができていない問題があると思います。  また、こうした販路を確保できれば、飲食店に対して営業をかけて料理にお米を使ってもらうことができるなど、さまざまな拡販が見込めます。さらに、私には工学系のバックグラウンドがありますし、そうした人脈があることから、農業の実務を知っている人間の目線で農業用機械の開発などに携わることも夢見ています。私の軸はあくまでお米づくりですが、その周辺領域についても知識を蓄えて実践できるようにしていきたいと考えているんです。

「年15万円の最低保証」でもやりたかった

米利休

77歳になる祖父の背中をおいかける

――米利休さんが農業を志したことについて、周囲の反応はいかがでしたか。 米利休:実は東大の友人にはまだ話していないんです(笑)。きっと驚くと思いますが、昔同じようにびっくりしていた地元の友人が現在はSNSなどを見て応援してくれているように、好意的に受け取ってくれるのではないかと期待しています。父とは、農業を継ぐことのメリットとデメリットについてたくさん話し合いました。母は当初否定的でしたが、私がこうした活動をしていることを知って本気が伝わったようで、今は尊重してくれています。家族が収入の安定しない農業に反対したり不安に思ったりするのは当然ですよね。私は現在、祖父から年15万円の最低保証をもらうだけで、あとはすべて自力で稼ぐように言われています。それでもやりたいから、「継ぎます」と手を上げたんです。
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農作業は1日に5〜6時間でも「結構ハード」
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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