更新日:2024年09月04日 10:18
恋愛・結婚

日本は「離婚=バツ」だが、フランスでは…“恋愛大国”から学ぶべき価値観

学業以外の「学び」が必要な理由

――髙野さんからご覧になって、恋愛以外でのそうした「もったいなさ」は多々感じますか? 髙野:やはり、学校でも家庭でも、少しでも高い成績をとって進学しないと子どもらの未来がない、幸せが来ないと考える傾向が強まっているように感じます。もちろん学業はたいへん重要ですが、外部とつながって学内の価値観とは別のものを学ぶこと、課外授業を学ぶ余裕とか、学外では何が起きているのかとか、社会に出てから戸惑わないような、刺激を与えておくことも大事な「学び」ではないかと。  それこそ、フランスの恋愛映画なんかちょうどいいと思います。免疫がないと、就職しても辛いことばかりに思えてくるでしょうし。私は子ども時代から大人に連れられて、かなり濃厚な恋愛映画を観ていました(笑)。 ――画一的な価値観が強固になりつつある一方で、近年では主にSNSを中心として、個性や「自分らしさ」を前面に出した投稿が称賛される傾向もありますよね。稀に個性をはき違えた投稿などが炎上することもありますが。 髙野:そのあたりは難しいですよね。ただ、自分らしさを見出すために人生があるのですから、またもちろん、変わっていることも、自分らしさの一部の場合もあるでしょう。個性でもあります。私なども、変わっていると言われるのは、誉め言葉だと思って喜んでいるくらいですが(笑)。  フランスでは自分らしさがない、個性がないという存在は認められないくらいですから。そういう男女を主人公としているのが、フランス映画ですから、やっぱりたくさん観ていただいた方がいいですね(笑)。

すべての女性が胸ときめく人生を歩んでほしい

――最後に、「フランス映画のこんなところが生きるうえで血肉になるのでは」という部分があれば、お願いします。 髙野:今回、書籍の形にまとめてみて改めて思ったのは、生きる勇気がほしいときに自分を元気にしてくれるものこそ、フランス映画だなということ。そして書名にもしたように、歳をとるほど、人生ある限り、恋をする自由もあるんです。長寿大国を誇る我が国こそ、様々な愛があれば長い人生も豊かになるでしょう。  生きていれば、たびたび様々なことに心を痛ませ、落ち込み、塞ぎがちになることもあるでしょう。でも、また生きてさえいれば誰かと巡り会える、愛を分かち合える。大切な人生を誰かと分かち合うことが大切だと、フランス映画に描かれる人生から学べます。  すべての女性がそんな胸ときめく人生を歩んでほしいなと私は願います。 =====  髙野氏の言葉は、小気味よいテンポでしっとりと鼓膜に落ちる。  視線をまっすぐに保ち、柔和な笑みを浮かべながら、物事の核心をこちらに向かって取り出すように見せてくれる。そこにいささかの説教臭さも自慢も滲まない。若い女性たちが髙野氏に惹かれる理由は、これかもしれない。 「あなたの人生を楽しんで」。そのエールが無責任で宙に浮いた戯言にならないのは、髙野氏が他の誰よりも自分自身の人生と自由を楽しんでいるからだろう。フランス映画のフィルムから飛び出してきたような優雅さとチャーミングさに、ひたすら脱帽する。 <取材・文/黒島暁生 撮影/村上知穂>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
1
2
3
4
おすすめ記事
ハッシュタグ