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東芝の売上は「ピーク時の半分以下」に。白物家電やテレビを手放した、かつての“一流メーカー”の今

「BtoC事業」はほぼ手放すことに

 粉飾決算とWH社投資の失敗を抱えた東芝は事業売却を余儀なくされました。16年3月には医療機器事業を手掛ける子会社をキヤノンに売却。6月には白物家電を扱う東芝ライフスタイルの株を8割、中国の家電メーカーに売却しました。メモリ事業は17年4月に東芝メモリとして分社化し、現在はキオクシアホールディングスとなっていますが、東芝は株を4割しか握っていません。同様に、11月に売却したテレビ事業は95%が中国ハイセンスグループの手に渡りました。「REGZA」というブランドは残っていますが、東芝の株式保有比率は僅か5%しかありません。パソコン事業も鴻海傘下のシャープに売却されました。  東芝本体でいえば、17年12月に約6,000億円の第三者割当増資を実施したことで債務超過を解消しました。しかし海外の“もの言う株主”が主に出資したため、株の外国人保有比率は30%から70%まで上昇し、経営判断がまとまらない状況となりました。

国内勢が買い戻したが、海外ファンドは大儲け

 そして昨年、国内PEファンドである日本産業パートナーズ傘下のTBJHがTOBを実施し、最終的にTBJHが東芝株の78.65%を握りました。日本のメガバンクやローム、中部電力など“国内連合”が出資した額は約2兆円にのぼります。この結果、東芝は12月に上場廃止となりました。経営判断が安定するようになりましたが、この買収劇で東芝株を握っていた海外ファンド勢は合計4,000億円以上もの利益を得たのです。  東芝は現在、BtoC事業からほぼ撤退しており、原発や送電などの電気インフラ関連、ストレージ、リチウムイオン電池、鉄道・上下水インフラなどの事業を行っています。24年3月期の売上高は3兆2,858億円とピーク時の半分以下しかありません。日本のインフラを担い、福島第一原発の廃炉作業もあるため企業としては今後も存続するでしょう。しかし、かつての栄光を取り戻すことはありません。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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