「キングオブコント2024」ファイナリスト発表。“5年連続5回目”の超実力派コンビも
“日本一のコント師”を決める大会「キングオブコント2024」。第17代目キングの座を目指す10組のファイナリストが発表された。ファイナリストは以下の10組だ。
・コットン(2年ぶり2回目)
・ラブレターズ(2年連続5回目)
・隣人(2年連続2回目)
・ロングコートダディ(2年ぶり3回目)
・ニッポンの社長(5年連続5回目)
・cacao(初進出)
・シティホテル3号室(初進出)
・ダンビラムーチョ(初進出)
・ファイヤーサンダー(2年連続2回目)
・や団(3年連続3回目)
都内で行われたファイナリスト発表会見では10組がズラリと登場し、それぞれ決勝にむけた意気込みを語った。隣人がなぜかテントを組み立てる話をし、「間違えてました。これ、キングオブテントでした」とダジャレ的なボケをかますと、「キングオブちゃんこと間違えました」(ニッポンの社長)、「リングオブボンドの話しちゃいました」(ダンビラムーチョ)と、若干強引にボケがかぶせられていく。
会見進行役をつとめる小籔千豊がそれを拾いまくりツッコミまくりながら回していく。さながら10組プラス小藪で繰り広げられる「集団芸」のような雰囲気でもあり、ライバルでありながら謎の一体感も生まれているように感じた。
今回のファイナリスト10組について、人気バラエティ番組や情報番組などを手掛けるある放送作家は「安定感あるベテランから若手まで、いろんなタイプでありながらバランスのとれた10組だと思います」と、その印象を語る。
そして、近年のお笑い界はコントに力を入れる芸人が増えてきていると続ける。
「M−1(グランプリ)とキングオブコント、どちらもファイナリストになった経験をもつ芸人も増えました。今はキャラだけで押し切るようなものではなく、しゃべりの力、ワードセンス、演技力……総合力を問われるようになってきています。M−1がボクシング世界一決定戦だとすれば、キングオブコントが総合格闘技の決定戦、そんなイメージもあります」(同)
10組の中には、ある意味「常連」のような複数回、複数年連続選出のコンビやトリオもいるが、そのぶんのハードルの高さはあるだろうか。前出の放送作家は、「それはどうしてもありますね」と言う。
「今まで見たことのないものがもたらせる爆発力みたいなものが流れや空気を作ることがあるので、見慣れたコンビ、トリオは爆発力を作る難しさはあると思います。ニッポンの社長のように毎回突飛なことをやるコンビは『今度はどんな変なことしてくるんだろう』という目で見られると思いますので、期待を超える突飛なことがやれたらその爆発力はすごそうです」
同作家は、ロングコートダディが昨年体調不良により準決勝を欠場したことがプラスに働くかもしれないと続ける。
「違うコントを何本もやるため、性質上どうしても消耗戦になります。そんななか、ロングコートダディは去年のぶんも合わせて完成度の高いネタがたくさんある可能性が高い。そこは注目したいですね」
また、近年はネタ順の早いほうが有利な傾向があるという。昨年のM−1の令和ロマンとさや香もそうだったが、キングオブコントも、優勝こそ逃したものの、1番手のカゲヤマと2番手のニッポンの社長が高得点を叩き出し、そのままファイナルに残った。
「ネタの方向性がかぶった場合、先にやってしかも常識を超えてくるような内容だったりすると、圧倒的に有利ですね。最近は全組実力が高いので、最初からいきなり空気を作れることも当たり前になりました。レベルの高いコントをずっと見ることで、後半は見る側も疲れてしまっていたりすることも最近の傾向としてはありそうです」
同作家は、初選出のcacaoに注目しているという。
「見る側、会場側は、『どんなことやるんだろう?』という目で見ると思うんです。そういう意味では正統派のコントはなかなか厳しかったりするので、昨年のカゲヤマが一気に空気をつかんで決勝に残ったように、どれだけばかばかしいことをやれるか、どれだけかきまわせるかというのも大事かなと言う気がします」
そして、昨年4位のサンダーファイヤーも忘れてはならない。
「昨年のものまねネタの目の付け所がすごく面白かったので、いいネタを2本用意できていれば期待できるのではないでしょうか」
会見では賞金1000万円の使い道について、
「事務所枠の番組を作って吉本の芸人をゲストに招いていじりたい」(ラブレターズ)
「事務所の劇場の設備をグレードアップさせたい」(や団)
など、それぞれに優勝への期待をふくらませていた。
はたして日本一のコント師の称号は、どのコンビ、あるいはトリオに与えられるのか。
<取材・文/太田サトル>ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。
バランスの取れた10組になった
放送作家が注目する芸人は
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