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“札幌ドーム時代”の収益とは雲泥の差が…野球の試合がない日でも「エスコンフィールド」に人が集まる“明確な理由”

エスコンフィールドのスゴさはどこにあるのか?

エスコンフィールド

グラウンドが近い!(筆者撮影)

ということで「エスコンフィールド」にやってきた。 巨大な駐車場に車を停め、中に入るといきなり見えてくるのが巨大なグラウンドだ。ボールパークと命名される球場の特徴の一つは、観客席とグラウンドが近いことだが、確かにこんな距離でのグラウンド、見たことないかも。 その迫力に圧倒されながらも目につくのは、球場をぐるりと囲むように作られたフードコートやショッピング施設。特に飲食店は、「ミスター・ドーナツ」のようなチェーン店から、北海道ならではの「ルスツ羊蹄ぶた」など幅広く、グルメを物色しているだけでも楽しくなる。また、ヤッホーブルーイングのレストラン「そらとしば」では、屋上テラスから野球を観戦することもできる。
エスコンフィールド

中にあるフードコート。ここだけ見ると球場だとは思えない(筆者撮影)

それ以外にも、バッティングセンターや野球博物館、またファイターズグッズを多く取り扱うショップなど、さまざまなコンテンツが盛りだくさんである。私が訪れた日は試合がない日であったが、それでも多くの人がいたし、確かに野球観戦以外でやれることがとても多い。 ボールパークができた当初は、「野球場に別の施設がくっつく」のがその形だったと思うが、エスコンフィールドを見て思うのは「ショッピングモールの一つのコンテンツとして野球場がある」ことだ。ショッピングモールの中には、だいたい真ん中に大きな広場がある。そこで週末になるとイベントをやったり、抽選会をやっていたりする。ボールパークの場合、その広場がまるっと野球場になっている、というイメージだ。

「野球を好きにする」仕掛けこそが…

エスコンフィールド

ショッピングモールの中央広場。エスコンフィールドはここが野球場になったイメージ(筆者撮影)

ボールパークの狙いが、「野球観戦以外の需要も掘り起こす」ことは先ほども述べた通り。実際、こうした球場以外のコンテンツの存在により、家族やカップルでもここにくる理由になりそうだ。さらに、これは私自身がそうなのだが、野球に興味が無い人でも、この空間自体に惹かれて結果的に野球に興味を持つ、という流れも生まれるのではないかと感じた。例えば、「そらとしば」のテラスで野球を観戦する、なんてのは楽しそうだな、と思うし、ここにはサウナに入りながら野球観戦できる場所もある。そこにサウナーがやってきて、野球観戦にはまる……なんてこともありそうだ。
エスコンフィールド

「そらとしば」の屋上テラス。ここから野球観戦するの、最高じゃないですか?(筆者撮影)

つまり、野球以外の需要だけでなく、「野球を好きにする」仕掛けも満載なのが、エスコンフィールドの本当のスゴさなのだ。
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「一つの街」になっていくボールパーク
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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