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“札幌ドーム時代”の収益とは雲泥の差が…野球の試合がない日でも「エスコンフィールド」に人が集まる“明確な理由”

「一つの街」になっていくボールパーク

エスコンフィールド

外にある庭。これは、れっきとした都市開発である(筆者撮影)

エスコンフィールドがさらに面白いのは、そこが「一つの街」になっていることだ。 そもそもここは開発されるとき、それまでの町名が変更され「Fヴィレッジ」という新しい名前になった。ボールパークは都市開発にもなりつつある。 実際、球場の外に出てみると、そこは人口の池などがあり、その周りにはショッピングモールをはじめとして、KUBOTAの農業体験施設やマンションなどがある。その姿は、まだ不完全ながらも、確かに「一つの街」の輪郭を持ち始めている。 ボールパークの「街」化は、どんどんと進んでいる。例えば、今年の10月に誕生した「長崎スタジアムシティ」。サッカーチーム、V・ファーレン長崎のホームスタジアムであるだけでなく、ショッピング施設やホテル、さらには学習塾のような日常生活に必要な設備までが揃っている。また、長崎大学のキャンパスも中には入っており、エスコンフィールドよりも、より「街」としての機能が拡充されている。 ちなみにアメリカのディズニー社は現在、「コティーノ」と呼ばれるディズニーの世界を体現したかのような住宅街の販売を始めつつある。ある一つの「テーマ」に沿って、それを体感できる場所を作っていくテーマパークの究極系は「一つの街を作ること」である。 その意味では、ボールパークというテーマパークも、「一つの街」を日本各地で作り始めているのかもしれない。 <TEXT/谷頭和希>
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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