更新日:2024年12月29日 17:52
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「収入は会社員時代の3倍に」110kgの40代男性が“車上生活”で見つけた“居場所”――仰天ニュース傑作選

摩耗してしまわぬように、「好きなことに没頭してほしい」

――いま、学校や会社において、“立場がない自分”を意識せざるを得ない人はたくさんいるのではないかと思います。もしもそんな人たちに戦力外さんから言葉をかけるとすれば、どんな言葉になるでしょうか。 戦力外:自分語りになってしまうのですが、私は幼少期から、両親が事業で忙しかった代わりにたくさん書籍を与えてもらっていました。こうみえて結構な読書家なんです。もっとも、ある程度年齢がいくと、親が顔をしかめるようなゴシップ誌が好きになるんですが(笑)。ただ、昔から文章を書くなどの創作性の高い行為が好きで、いつか自分も何か創作して暮らしたいとは思っていました。  いま会社員として「戦力外」な人、学校に居場所のない子たちも、遡ってみれば「これが好き」と呼べるものがあるはずで、そうした好きなことに没頭している時間だけはつらい現実から避難できると思うんです。みんながみんな好きなことで生きていけると思わないし、好きなことで生きていけばすべて幸せとは思いません。ただ、惨めな自分と向き合い続ける人生はしんどいので、摩耗してしまわないために趣味の世界を持つことは大切なんじゃないかなと思っています。 =====  社会は厳しい。あるいは、厳しくあらねばならないという同調圧力が存在する。勝ち組/負け組、有能/無能という線引きによって人種がわけられ、線の下にいる人間は生涯うつむいて生きなければならない。趣味とは、生産性の低い人間が逃げ込んだ防空壕にすぎない。少なくともそう考える人間が存在する。  だがそれは本当か。わかりやすい社会貢献ができなくても、人の琴線に触れるコンテンツを生み出すこと。会社員として落第点だった中年男性の悲哀が多くの人々の共感を呼んだ。社会で生きる人々に癒やしを届け、日常に緩やかな時間を作る。役に立たないものこそ、役に立つ。ゆえに世の中に「戦力外」なんていない。動画がそう、語りかけてくる。
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【動画】ドキュメント車上生活者の給料日
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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