ニュース

焼肉食べ放題店の元経営者が明かす“裏事情”。注文されると「苦しい/嬉しい」メニューとは――ニュース傑作選

精肉店直営ならではの強みとは?

 ワンカルビは創業50年が物語る蓄積された技術と対面販売にこだわり、高品質の肉を欲しいだけの量り売りを売り物にしています。お肉屋さんが垂直的多角化で焼肉店を経営して収益機会を多様化するのはリスクの低い成長戦略ですね。  牛豚肉などの調達力が強みの会社ですが、多種多様な業態を開発し、顧客ニーズの探索と最適な業態開発を懸命にされている企業イメージもあります。1人客をターゲットにした1人焼肉店も出店しており、ファミリー客をターゲットにしているワンカルビとは一線を画し、市場の棲み分けをしているようです。  焼肉チェーン店は大量仕入れによるコストダウンでお客様に安くお肉を提供できるという強みがあります。もちろん、希少部位においては大量に確保しようと思えば、逆にコストが上がってしまうこともありますが、大概はその利益を享受できるものです。ワンカルビは精肉店直営の焼肉店ならではの、安くて美味しいお肉の提供といった強みをいかんなく発揮していると思います。精肉店も経営しているから肉の購買でスケールメリットがあるのは当然ですね。

白米を頼むのはお店側の思うつぼ?

ワンカルビ

ワンカルビで注文した焼き肉メニュー

 外食は快適な雰囲気も大切ですが、ワンカルビはゆっくり会話を楽しめるように、半個室の空間になっており、内装は高級感を感じさせる和テイストにまとめています。今の時期であれば、入学・卒業などのお祝い事など、ハレの場にぴったりのお店です。  食べ放題コースも、3つのコースが用意されており、お手軽コース3480円(税込3828円)、全品コース3980円(税込4378円)、塩タン+全品コース4380円(税込4818円)があります。今回は一番上の塩タン+全品コースを紹介致します。  メニュー内容を見ると、タン(6種類)、牛焼肉、ステーキ、鶏豚肉、ホルモン、前菜、逸品、サラダ、スープ、麵飯類など全87品目をバランスよく構成されていました。これだけの料理を無制限に食べられて、物価高の中で、この価格はおかしくないかとお客さんが疑ってしまうような内容です。  また、これが食べ放題のお肉かと思うほど柔らかいお肉です。もみダレでしっかり揉んでいるので濃い味になっており、白米がよく合いますから、白米好きにはたまりません。すごい勢いでお替りする人が多いですね。  筆者は元焼肉食べ放題チェーンの経営者ですが、白米の原価は低く、白米は別腹と豪語する人でも食べられる量には限度がありますから、お肉の追加が減るのは当然です。お店はラッキーと思っているはずです。
次のページ
サイドメニューを頼むお客はありがたい?
1
2
3
4
5
6
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
記事一覧へ
おすすめ記事