更新日:2025年01月21日 19:02
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増殖するタワマンで駅の利用者数が激変し、鉄道会社のビジネスモデルは根底から崩壊…JR京葉線が“通勤快速全廃”した事情を読み解く

千葉県や千葉市がJR東日本へ直訴するも…

鉄道がつなぐ昭和100年史

京葉線の東端・蘇我駅は京葉工業地帯の雰囲気が色濃い(撮影:小川裕夫)

2023年に新規開業した幕張豊砂駅の駅前はイオンの商業施設群が並ぶ(撮影:小川裕夫)[/caption]京葉線の黎明期において、通勤快速は遠方の通勤需要を掘り起こして沿線全体を盛り上げる立役者でした。その役割は時代とともに希薄化していき、人口減少が鮮明になった令和になって役割を終えることになったのです。 そうした思惑からJR東日本千葉支社が通勤快速の全廃および朝夕の快速廃止というダイヤ改正を断行しました。しかし、予想以上に沿線自治体から強い反発を招きました。千葉県や千葉市は、通勤快速の廃止を撤回することを含めてダイヤ改正を見直すようにJR東日本へ直訴しています。 けれども、自治体の要請は実らず、通勤快速は廃止されました。それでも、千葉市が直訴した効果は多少あり、朝2本の快速はダイヤ改正の発表後に異例の「復活」を遂げています。 JR東日本千葉支社はダイヤ改正から約半年後の9月に、さらに快速の運転本数を増やすダイヤ改正を実施。これは千葉市の意見を受け入れた見直しでした。 通常、ダイヤ改正という鉄道イベントは鉄道ファンしか興味を抱かない話題です。ところが京葉線のダイヤ改正は沿線住民や自治体など、社会の大きな関心事になりました。 普段、気づくことは少ないのですが、鉄道ダイヤは生活に直結する話であり、その改正はライフスタイルを一変させる力があり、鉄道と社会が密接に関係していることを明らかにしました。 <TEXT/小川裕夫>
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『鉄道がつなぐ昭和100年史』(ビジネス社)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro
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