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「CM中にトイレどうぞ」発言で炎上した乱一世が当時を振り返る「月収300万円がパーになった」

「これでいいんだ」とどれだけ開き直れるか

どれだけ開き直れるかーーリポーターに限らず、今は「育てる」という概念が著しく欠落しているような気がします。自分のことで精一杯で「育てる」余裕がないというか。 乱:そうですね。ナレーションもいかに早く自分のフィールドをつくるかなんですけど、僕、ナレーションは一切リハしません。 ーー毎回ぶっつけ本番ですか? 乱:はい。台本は最初の1ページしか見ません。たとえば「今日は富士山に行ってきました」という一文を確認したら、僕のなかでディレクターとのパスはもうそこで終わっているんです。あとは自分のなかで富士山のイメージを広げれば終わりですから。 『噂の!東京マガジン』の「やってTRY!」というコーナーも、最初はごく普通のナレーションでしたが、あまりに面白くないので、よく行ってた新宿三丁目の飲み屋でずっとくだを巻いてるオジさんの真似をして読んだらウケて。 唯一、司会の森本毅郎さんだけは大っ嫌いだったみたいで「すぐやめさせろ!」って怒ってましたが、視聴率が良かったのでそのまま続いたという(笑)。 結局、人に何と言われても「これでいいんだ」「自分はこれなんだ」と、どれだけ開き直れるかだと思いますけどね。それで何かが終わったとしたら「乱一世」という時代が終わったんだと思うしかない。

毎日酒も飲んでタバコも吸って、お姉ちゃんにもいく

ーー自分を貫いて50年ですか。 乱:長いですよね。嫌になっちゃいますよ。 ーー現在74歳ですが、何か健康で気をつけていることはありますか? 乱:ないです。いまだに毎日タバコ吸ってるし酒も飲んでるし、たまにお姉ちゃんのとこにも行くし。そこを曲げてまでどうこうしようとは思わないです。 昔、飲み屋でとある有名人と一緒になったらサッカーの話になって。僕はホンネで「サッカーが嫌い」って言ったのに、そいつが「乱さん、今さらサッカー嫌いなんて格好つけてモノ言ったらダメですよ」って偉そうに言うものだから、殴り合いの喧嘩になってボコボコにしました(笑)。 ーー昨年、かつての事務所の先輩だった小倉智昭さんが77歳で亡くなりました。 30年くらいのお付き合いでしたが、あの人は知り合ったときから糖尿病が悪くて、ずっと重い病を抱えていましたから。勃たないのにスケベで(笑)。やっと自由になったのかなって思いますね。 同年代と話していても、もういつ見送られるか、いつ見送るかどっちかしかなくなっちゃったな、って。その間に好きなことをやろう、それだけですよ。 <取材・文/中村裕一 撮影/山川修一> 【乱一世】 ’50年、東京都生まれ。ラジオ番組『ザ・パンチ・パンチ・パンチ』でデビュー。伝説の深夜番組『トゥナイト』『トゥナイト2』のリポーターとして一世を風靡しただけでなく、『噂の!東京マガジン』『愛の貧乏脱出大作戦』『東京フレンドパーク』『なないろ日和!』など、さまざまな人気番組のナレーションを担当
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Xアカウント:@Yuichitter
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