「1位巨人、2位阪神」のシーズンが過去17回。阪神は巨人との一騎打ちは避けたいはず…今年の両球団の強みと懸念点を検証
各球団キャンプインし、野球ファンにとってシーズン開幕が待ち遠しい季節になった。セ・リーグで注目したいのは、昨シーズンの終盤まで激しい優勝争いを繰り広げた巨人と阪神。おそらく、今年はこの2球団がリードしつつ、他球団が背中を追う展開になるのではないか。両球団の戦力を分析していこう。
連覇を狙う巨人は課題が明確だ。昨年のクライマックスシリーズ敗退の原因、「打線の火力不足」に尽きる。オフに阪神の主軸である大山悠輔を獲得できなかったのは非常に痛かった。昨年と同様、投手力と固い内野守備を活かす、ディフェンス重視の戦略をとると予想する。
ここでポイントとなるのが、岡本和真の存在。今年はメジャー挑戦を見据えた大事な年で、かつて松井秀喜がリーグ優勝&日本一を置き土産にしたような活躍が期待される。ちなみにライバルの村上宗隆は、2021年に日本一を“達成済み”。彼と同じくシーズンMVPが獲得できれば言うことはない。
一つひとつのプレーやコメントからも、今年にかける気迫がひしひしと伝わってくる。外野守備など複数ポジションを練習していることから、岡本の調子のバロメーターの一つでもある身体が絞れてくれば開幕ダッシュのような形で、活躍が見込めるだろう。あとは、調子がいいときは欲張りすぎず、フォームを崩さないように継続できるかがポイントになる。
昨年活躍した吉川尚輝やエリエ・ヘルナンデスにくわえて、新外国人のトレイ・キャベッジがどこまでチームの打力を底上げできるかにも注目したい。もちろん忘れていけないのは坂本勇人と丸佳浩のふたり。豊富な経験はチームにとってまだまだ必要な要素。
ただ、岡本のメジャー挑戦を見据えると、浅野翔吾に一皮むけてもらいたい。長嶋茂雄氏が松井秀喜を、原辰徳氏が坂本をそれぞれ一本立ちさせたように、阿部慎之助監督も自らのチームを代表する選手を育成してほしい。
投手陣は菅野智之が抜けたものの、投手運用や継投さえ間違えなければ今年も安定した試合運びができると見ている。だからこそ、得点力を改善できるかがペナントレースを勝ち抜くうえでの鍵になるだろう。

宮崎キャンプで談笑する阿部慎之助監督と鳥谷敬氏 ©産経新聞
岡本が目指すべきは「日本一とシーズンMVP」
岡本が去ったあとを担うであろう浅野の奮起に期待
野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55
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