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「1位巨人、2位阪神」のシーズンが過去17回。阪神は巨人との一騎打ちは避けたいはず…今年の両球団の強みと懸念点を検証

阪神の強みは実力者ぞろいの先発陣

一方で阪神は投手陣の層の厚さが大きな強みだ。髙橋遥人が復帰し、才木浩人や2年連続二桁勝利の大竹耕太郎、一昨年のMVP村上頌樹と多士済々だ。その他、ジェレミー・ビーズリーや伊藤将司、西勇輝といった実力者が控える先発陣は他球団からすれば羨望の的だろう。 主力である近本光司や森下翔太、大山が例年通りの活躍をすれば、決して侮れない打線になる。 さらに、ディフェンス面と不安定なパフォーマンスで叩かれがちな佐藤輝明も最低60打点は計算できる選手。現代の打低傾向を考えると貴重な存在だということを忘れてはいけない。ただ、守備のミスから打撃の調子を崩すことになることは避けたい。なるべく負担の少ないポジションで起用してほしいものだ。

指導経験がない藤川監督は大丈夫か?

とはいえ、懸念材料がゼロではない。藤川球児監督の経験不足が勝敗を分ける可能性は少なからずあるだろう。セ・リーグで、「シーズンを通した指導経験がない監督」で優勝を果たしたのは、2004年に中日ドラゴンズを率いた落合博満氏まで遡る。ちなみにパ・リーグを含めると、2015年に福岡ソフトバンクホークスで日本一になった工藤公康氏になる。 さらに、不安要素を挙げるとしたら、昨年苦しい場面を救ってきた桐敷拓馬に勤続疲労の懸念がある。ただ、繰り返しになるが、投手陣の層は厚い。ゆえに藤川氏をはじめとした首脳陣の投手運用が機能すれば、桐敷への一極集中も避けられるはずだろう。 野手陣は、大きく成績を下げた中野拓夢のパフォーマンスに注目したい。復調すれば、打線の安定感も向上するだろうし、一気にチームを勢いづける可能性がある。
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阪神は巨人との一騎打ちは避けたいはず
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野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55

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