更新日:2025年02月20日 18:01
デジタル

iPhone 16e「約10万円」の衝撃。今後はAndroidや中古iPhoneが現実的な選択肢に

ニューモデルの構成は“妥当”の一言

 廉価版という位置付けのiPhone 16eだが、実際には主要な点でメインストリームのiPhone 16に並ぶ性能を有しており、部分的には上回っている。
iPhone 16e

カラーバリエーションは白と黒の2色展開となるも、「色とりどりのカバーを選んで……」とフォローしている

 デュアルカメラや「カメラコントロール」が非搭載で、ノッチの形状はiPhone 14までのスタイルに逆戻りしているが、画面右側面の「サイドボタン」はしっかり搭載されており、コネクタも人気のUSB-C仕様。バッテリー駆動時間がiPhone史上最長となったのは立派なセールスポイントで、iPhone 16eを選ぶ決め手になりそうだ。また、高級機種に合わせてTouch ID(指紋認証)を廃し、Face ID(顔認証)に統一された。
iPhone 16e

Apple Intelligenceの利用例だが、やっていることはただのChatGPTクライアントであり既視感が強い

 日本では今年4月にデビュー予定のAI機能「Apple Intelligence」にもフル対応するが、PR動画上で紹介された使用例は「ChatGPTにレシピを尋ねる」といったもので、新鮮味を欠いている。Appleが信条とする“高度なプライバシー保護”はたしかに魅力だが、iPhone 4SにSiriを搭載して話題になった頃と比べると、先進的なイメージはなくなった。

何よりも気になるお値段はズバリ…

 日本のユーザーが首を長くして“春のiPhone”を待ち続けて来た理由は、価格である。他の先進国ではインフレに伴って賃金も上昇しているが、平成時代に労働運動が下火になった日本では、勤労者の実質賃金は極端に低く抑え込まれている。  それに加えて2022年には災害級の円安が到来、しかも2024年に始まる米価の高騰も重なり、家計のエンゲル係数が急上昇中だ。「以前と同じ値段でスマートフォンを買い替えるのも厳しい」という人が、少なくないのではないだろうか。  2022年に発売された第3世代のiPhone SE(エントリーモデル)は、発売当初の価格が税込で6万円台前半。後に円安を受けて値上げされているが、iPhone SEの市場価格は、スマホ買い替えのひとつの目安となっていた。  ところが今朝発表されたiPhone 16eは、エントリーモデルの最低価格が税込で99,800円(アメリカでは税抜599ドル)。かろうじて10万円の大台を切ってこそいるが、米飯のかさ増し方法がテレビで解説されている昨今、この新商品を「安い、安〜い!」と言う勇気はない。
iPhone 16e

本国価格は599ドル。日本円に換算して消費税を付けるとほぼ10万円なので、99800円というのは綺麗な数字である

 ちなみに、iPhone SE(第3世代)のアメリカ価格は429ドルだったので、世界的に価格の底上げがされた形になる。性能を考えればiPhone 16eの価格設定は妥当で、むしろ“お買い得”でもあるが、Appleは今後、500ドル未満のスマートフォンを作るつもりがないのかもしれない。そうなると、ユーザーの側も身の振り方を考える必要が出てきそうだ。
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「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆
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