スポーツ

レッドソックス吉田正尚が「干される可能性」も…“正念場の3年目”で逆襲なるか

多くの日本人打者が阻まれた“打率3割の壁”

 そうなれば、日本人打者として史上4人目の打率3割も見えてくる。これまで規定打席に到達したうえで、打率3割の壁を突破した日本人打者は意外と少なく3人だけ。10度達成のイチロー氏(01~10年)、松井秀喜氏(05年)、そして大谷翔平(23~24年)である。  複数回達成したのはイチロー氏と大谷しかいない。日本のプロ野球で首位打者経験がある青木宣親氏や福留孝介氏、秋山翔吾といった並み居る強打者もメジャーでは3割の壁に阻まれた。  20~21年にパ・リーグの首位打者に輝いた吉田と同じく、鈴木も19年と21年にセ・リーグで同タイトルを獲得している。今季は大谷を含めて3人が打率3割に乗せてもおかしくないだろう。

吉田が3割打者になるために必要なこと

 ただ、吉田と鈴木のどちらが打率3割に近いかとなると、間違いなく吉田の方だ。昨季の2人の打率は吉田の.280に対して、鈴木は.283。メジャー投手により適応している鈴木が打率3割に近いイメージもあるが、「BABIP」という指標を見ると、決してそうとはいいきれない。  BABIPとは、「Batting Average on Balls In Play」の略で、本塁打を除くインプレーの打球のうち安打となった割合を表す指標のこと。この数値が高いほど運がいいとされるが、長いスパンで見ると、どの打者も.300前後に落ち着く。  昨季の鈴木はこのBABIPが.370という超ハイアベレージだった。つまり、かなりの幸運に恵まれた結果が打率.283につながったということになる。  一方で吉田のBABIPは.302とほぼ平均値だった。オリックス時代は.320~.350と、かなり高い数値で推移していたが、メジャーでは若干だが運に見放されているともいえるだろう。もし今季のBABIPを.330前後まで引き上げることができれば、打率3割も見えてくるのではないか。  メジャー1年目の8月以降、大きく評価を落としている吉田。首脳陣からの信頼を取り戻すところから始めなくてはいけないが、吉田なら華麗なる逆襲を果たしてくれるはずだ。 文/八木遊(やぎ・ゆう)
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
1
2
【関連キーワードから記事を探す】