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絶好調・田中将大の意外な“7人の敵”!?

 鳴り物入りでヤンキースに入団し期待を裏切らない快進撃で評価を上げる田中将大投手だが、デビューから約1カ月が経ち、意外な「敵」の存在が浮き彫りになってきた。そこで取材現場で見たマー君の意外な敵をここで紹介しよう。

◆1.嫉妬する?選手たち

田中将大投手

MLB日本語公式サイトより

 メジャーで1球も投げていない投手が、7年1億5500万ドル(約158億円)もの大型契約を結んでメジャーに乗り込んできたのだ。広いメジャー球界の中には、嫉妬する選手も当然出てくる。それを少しも隠さず放言し放題だったのがオリオールズのアダム・ジョーンズ外野手だ。4月の開幕早々にヤンキースタジアムで対戦したのだが、その3連戦が始まる前、ニューヨークのある記者に田中について聞かれると「なぜタナカにオレのことを聞かない? オレはメジャーで結構長くやっているんだぜ。メジャーに来られておめでとう。24勝0敗なんだって、日本で」と敵意を露わにして答えている。田中との初の直接対決では3打数1安打だったが2度の空振り三振を喫し、試合後にまた田中について聞かれると思い切り不機嫌そうな顔で「今日ウチに帰ったら、オレはタナカと対戦したんだぜとか言って自慢しなきゃならないワケ? タナカと対戦した記念にパーティーでも開かなくちゃならないワケ? 彼はただの1人のピッチャーだろ。1つのローテーションの1人のピッチャーだろ。特別なことなんて、オレにとっては何もないね。オレたちが目指すところへ行くために対戦しなければならないもう1人の投手というだけじゃないか」と話し、さらに「彼はいい球を持っていると思うよ。でもこの(ヤンキースやオリオールズが属する)ア・リーグ東地区は厳しいところだから。まあ、がんばってくれよ。オレら以外のチームと対戦するときにね」と終始冷たい表情でまくし立てていた。

 ジョーンズほどではないにしろ、入団前から注目され続け話題になっている田中を疎ましく思っている選手は案外いるものだ。そういう選手は、田中のことを聞かれると決まって「1人の投手に過ぎない」という言い方をするのでわかりやすい。

◆2.田中をパスしたチーム

 メジャーの球団は「田中を獲得したかったチーム」と「田中をパスしたチーム」、大きく2つに分けることができる。

 田中の獲得を熱望したのにフラれたチームはさぞかし田中に恨みつらみを抱いていることだろうと思いきや意外や意外、そんなことはまったくない。例えば田中獲得に一番熱心だった球団の一つカブスは、チームが100年以上もワールドシリーズを制覇しておらず今季も開幕から成績が低迷しているが、ファンはメジャーでも一、二を争うほとの熱心さだ。田中が獲得できなかったことには心底悲しんでおり、4月16日に田中がカブス相手に登板することになったときは「田中を見ると哀しい気持ちになるが、対戦が楽しみ」とワクワク状態だった。そして実際に対戦し、カブスが田中に対して8回までにバント安打のみのわずか2安打、10三振と圧倒されたときは、失望するよりもむしろ相手を称えていた。カブスのリック・レンテリア監督は、試合前には「願わくばタナカを苦しめる攻撃をしたい」と話していたが、試合後は「素晴らしい投手だ」と賞賛し、カブスの選手たちも「あのスプリッターは打てない」と素直に脱帽していた。

 対照的に「田中をパスしたチーム」は、田中に対し「ふーん、別に」という姿勢。より無関心でいられる方が辛いとはとよくいわれるが、田中の場合はいかに。

◆3.レッドソックスファン

 ヤンキースとレッドソックスは同リーグ同地区の伝統のライバル。敵地でプレーするときは猛烈なブーイングをくらうことが多いが、それもこのライバル対決の醍醐味であり、強烈なブーイングを浴びることがむしろ「勲章」にもなる。

 だが田中が4月22日に敵地フェンウエイパークで初登板したとき、ボストンのレッドソックスファンは意外にも田中に大きな歓声と拍手を送った。ヤンキースの選手にこれほど温かく接するボストンの観客はこれまで見たこともない。ほのぼのした良いシーンではあったが、そんな彼らに激しいブーイングをさせるようになったときが、真の大物となったときなのかもしれない。

⇒【後編】「4.メッツファン~7.球団の顔 デレク・ジーター」に続く http://nikkan-spa.jp/630311

<取材・文/水次祥子>




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