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生活保護家庭で母は薬物依存症。中学2年生から働くことを強要され、高校に行けなかった21歳男性の叫び

21歳にして400万円以上を母親に無心されてきた

[教育を奪われた]子どもの肖像

海斗さんの履歴書。学歴は地元の中学校卒業の1行のみ。14歳から働き、職歴の数は同世代より多い

「地元の工業高校の学祭に行ったとき、機械科でやっていた体験コーナーの実験が成功して、先生が『うちにおいでよ!』って言ってくれたの。絶対にこの高校に通いたいって思って母親に言ったら、『あんたの学費に充てるカネなんてないよ。上の兄姉に使ったから』って全否定。しかもこれは嘘だったことがのちに判明して、姉の学費は離婚した父親が出してくれてた」  学校の先生が卒業証書を家に届け、海斗さんの中学生活はあっけなく終わりを迎えた。16歳までは同じ電気会社で働き続け、その後はバーや飲食店などのアルバイトを転々としながらの生活。  だが、その収入の大半も母親に取られ、これまでに奪われた金額は400万円以上に上る。

本当は保育士になりたかった…中卒で稼げるのは夜職という現実

「直近は学歴不問の倉庫のバイトをやってた。『君みたいな若いのがなんでいるの?』なんてツッコまれたけどね。時給は最低賃金の1100円で、労働時間はその日の作業量で変動するから月9万円にしかならなかったし、一日体調不良で休んだらクビになっちゃった。毎日おにぎり2つでしのいで頑張ってたのに」  先月、母親から家を追い出され、現在は友人の家に居候して仕事を探している。 「昔から子どもが大好きだから、保育士になりたかった。子どもを見るたびに思い出すんだ。そんな夢も壊されちゃった。中卒だとやっぱり稼げるのは夜職だから、バーの面接を受けてるところです」  このように、親からの深刻な虐待を受けていると、高校進学どころか就職の機会すら奪われてしまう。 取材・文/週刊SPA!編集部
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