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バスで「2席分を1人で占領する」男性…混雑する車内で平然とする男を動かした“女子高生の行動”

突然声を上げた女子高生

女子高生の行動 兵頭さんが何もできずに座っていると、通路に立っていた女子高生が、その大柄な男性に向かっていきなり「すみません、横に座っていいですか?」と尋ねたのです。  大柄な男性は、その女子高生の言葉を聞いたかどうかは不明ですが、依然としてスマホに夢中だったようです。 「びっくりしました。いきなりはっきりとした口調でその男性に話しかけるのですから。気がつくとその女子高生は大柄な男性の横へ滑り込むようにして座りました。最初は『少し変わった子だな』と思ったのですが、その勇気には驚かされました」  大柄な男性の膝が触れることに気を留める様子はなく、その女子高生はまっすぐ前を見つめ、全く動かなかったようです。

突然席を立った大柄な男性

 その女子高生はポケットからスマホを取り出すと、おもむろに電話をかけ、大柄な男性にも聞こえるような声で話し始めました。 「もしもし、お母さん?今日学校で体調悪くなっちゃって、咳が出て熱も39℃くらいあるの。うん、わかってる。このままバスに乗って病院にいくね。じゃあね」  スマホに夢中になっていた大柄な男性は、女子高生の会話に耳を傾けていたようでした。 「女子高生のすぐ後ろに座っていたので、彼女の会話は聞こえていました。すると、次の停留所に到着すると同時に、大柄な男性は急いで席を立ち、バスの前方に消えていきました。その後、女子高生は近くに立っていたお年寄りと妊婦に席を譲り、満足そうな笑みを浮かべていました。  今度こそはと思い、その女子高生に『大丈夫ですか?座ってください』と言うと『ありがとうございます。実は演技だったんです。我慢できなかったので嘘の電話したんです』と、笑顔で返してくれました」  隣に座った人物が病人だと気づいた大柄な男性が感染を恐れて自ら退散したという今回のエピソード。その”北風と太陽”的な展開に兵頭さんは久しぶりにに感動したそうです。 TEXT/八木正規
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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