更新日:2025年03月27日 13:48
エンタメ

実写版『白雪姫』の“修正”に批判の声が続出。正義の名のもとに「過去を書き換える」傲慢さ

「修正する正義」を認めることが意味するもの

 このように、迎えた結末に違いはあれど、『白雪姫』とロアルド・ダール騒動には共通点があります。それは、反動的な正義によって史実が書き換えられ得ることを世に知らしめたことです。  過去の事実を不服とし、それを現代の認識によって転換させることは、言ってみればリベンジ(復讐)です。それは実力行使であり、報復の連鎖を生む温床となり、現に多様性はトランプ政権下の“新たな認識”によって絶滅の危機に瀕しています。  そうなると、アニメ『白雪姫』を修正する正義に正当性を認めろというのであれば、将来的に実写版『白雪姫』が真逆の価値観でリメイクされることについても同様の覚悟をしなければならない、ということになってしまいます。  政治的にあまりにも正しい『白雪姫』が不評を買ったのは、決してリベラル思想への反発だけが理由ではないでしょう。  その隠しきれない攻撃性にこそ、人びとは本能的に警戒感を抱いているのだと思います。 文/石黒隆之
次のページ
物議を醸した実写版『白雪姫』の予告編
1
2
3
4
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

記事一覧へ