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先輩女性が枕営業を勧める一面も…“生保レディ”が見た闇を赤裸々告白。「月収9000円」だった同僚も

「月収9000円」だった同僚も…

――成績の悪い営業マンはどんな扱いを受けるのでしょうか。 忍足みかん:夕礼では、「どうしてこんな数字なの?」のように聞かれ、「子どもが具合が悪くて看病がありまして」みたいな理由を話すとしますよね。すると「でも家から営業電話くらいはできるよね?」みたいに畳み掛けてきます。とにかく自分の努力不足を徹底的に突きつけられます。  営業成績ごとに待遇も異なっていて、最も悪い待遇になれば、会社に来るための交通費も出ません。私が知っている話では、月収9000円の人がいました。これは、成績の悪い人は業務委託契約のような雇用形態になるからなんです。最初の3年間は基本給があるのですが、それを過ぎると完全歩合制なので、こうしたことが起こり得ます。 ――失礼ですけど、忍足さんは悪い商品でも無理に他人に売りつけるタイプに見えないことから、営業成績は悪かったでしょうね。 忍足みかん:ご推察の通りです(笑)。騙しているような気がして、本当に向いていなかったですね。ただ、そんな私でも、友人に頼み込んで保険商品を契約させることに成功しました。しかし当時、友人に持ち合わせがなかったことから、私が肩代わりをしたんです。これは、ご法度です。そうしたことを何度か繰り返していくうち、会社の知るところとなり、辞めることになりました。あのときバレて辞めるきかっけが作れなかったら、今も私はあの会社で働いていたのかもしれません。月収9000円コースだというのは自覚しています。

女性が枕営業を勧めるのはセーフ?

――ご著書でも、忍足さんが電車に飛び込もうとするシーンが冒頭にありますよね。それほどまでにきついノルマですが、どうやってみんなクリアしているのでしょうね。 忍足みかん:枕営業の噂がある先輩社員などはいましたね。実際私も、ベテラン女性社員が「マクラやってこい!」と冗談めかして発言していた場面を見たことがあります。男性社員が言うと問題になるのでしょうけど、女性が言えばセーフという考えなのでしょうか。わりとそうしたことがまかり通っていたと思います。枕営業をしていたかはわかりませんが、お客さんから好かれてしまって本社にいろんなプレゼントが届くようになってしまった社員も知っています。  ただ、ノルマがきつくて枕営業で契約を取った場合、落とし穴があるんです。契約から14ヶ月以内にそのお客さんが保険をやめてしまうと、支払われたインセンティブが次の給与で天引きされるルールがあって。だから、契約して終わりじゃなくてズルズルお客さんとの関係を続けないといけないんですよね。
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「人身売買のような制度」のせいで疑心暗鬼に
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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