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先輩女性が枕営業を勧める一面も…“生保レディ”が見た闇を赤裸々告白。「月収9000円」だった同僚も

「人身売買のような制度」のせいで疑心暗鬼に

――結構闇深くて驚きました。他にも入社して驚いたことはありますか。 忍足みかん:社員の紹介制度があるんですが、紹介した社員を親、された側を子と呼んで、子が在籍する限り親にいくらかのインセンティブが入ります。毎月のことなので、それだけで生活しているような人もいて。でもこういう関係性って人間関係を破綻させることにもなりかねない制度です。  たとえば、紹介した人が入社した場合、豪勢なホテルの食事会に“親”は呼ばれるのだそうです。もちろん、“子”は呼ばれません。私自身、就職説明会で親身になってくれた先輩社員が自分の“親”だと知ったときは、「あの優しさも、全部お金のためだったのか?」と疑心暗鬼になりました。正直、私は会社のこの制度がもっとも嫌いですし、問題があると思っています。まるで人身売買のような制度だと感じてしまいます。

生保業界でいう“女性”は「結婚して子供がいる人」を指す

――生保レディとして感じた、最も大きな違和感どんなところでしょうか。 忍足みかん:世の中は女性活躍推進が声高に叫ばれていますが、少なくとも私が入社した会社では、女性が心身をすり減らしながら働くシステムがあって、それを動かしているのは男性であるという構図がありました。くわえて、生き残ったベテラン女性社員が「マクラをやりなさい」みたいな時代錯誤も甚だしいことを平気な顔で言う。そういう図式がとてもグロテスクだなと感じましたね。  生保レディはバレンタインのとき、自腹でチョコを買ってお客さんに渡したり、色仕掛け的なことを求められます。くわえて、女性単身で男性宅に訪問したりすることもしばしばある、危険な一面もある業務です。  また、「女性活躍!」をうたっていて、確かに子連れでオフィスに来る人もいるものの、生保業界でいう“女性”とは、結婚して子供がいる人だけを指しているんです。独身者や子どもがいない人、ましてや私のようにLGBT当事者においては、特別働きやすさがありません。本来は、すべての人を尊重した働き方が推奨されるべきではないでしょうか。
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自分を防衛するうえで大切なのは…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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