ライフ

「父が人生をめちゃくちゃにした」38歳会社員が決断した“家族との絶縁”。3000円の指輪で支えてくれた妻に感謝

3000円の婚約指輪でも一緒にいてくれた妻

退職当時、山村さんは結婚を間近に控えていた。家族との距離を取るべく、先方の家に婿入りし、名字を変えるという行動に打って出る。 「実家は小さいながらも会社を経営していたので、名字を変えなければ、相続面などでのメリットはあったかもしれません。けれどもし親子関係を続けていれば、今後も受けるストレスのほうが大きい。それならば、いっそ名前を変えてしまおう、となりました。 実家は3人きょうだいで男は僕だけなので、自分の家系はここで終わり。息子が名前を変えるまで想像したかはわかりませんが、父が余計なことさえしなければ円満に進んでいたと思います」

経済面の不安が大きい新婚生活も、妻の存在が支えになった

家族と縁を切ってストレスのない生活が待っているかと思いきや、退職後はしばらく不安定な日々が続いたという。 「騒動が起こった当時に妻が妊娠しており、会社を辞めたのは子供が生まれる直前だったんです。収入面での不安が大きく、精神的にも辛い日々が続いていました。退職から半年ほどで転職先が決まったことで、やっと気持ちは晴れましたね」 妻の存在が精神的に支えになった面も大きかったと話す。 「お金がない時期に結婚したこともあって、結婚指輪は3000円のもの。街中で行われているワークショップで一緒に作りました。それでも、嫌な顔ひとつしないで近くにいてくれたことに感謝しています。 結婚の挨拶で妻を両親に会わせたときも『お父さんちょっと話通じないね』と正直に話してくれましたし、心情や状況を理解して一緒にいてくれるのは本当にありがたいです」

人生をめちゃくちゃにされた

絶縁後は両親と一切連絡を取っていないという山村さんに、現在の心境を聞いた。 「できることは全てやったうえで決裂したので、後悔はありません。悩みのタネが減ったので気持ちはかなり楽になりました。 僕の子供も交えて、親子3代で家族だんらんすることに憧れがなかったわけではありませんが、いまとなっては想像すらできないです」 父親と完全に連絡を取らなくなった今も、山村さんの怒りは収まっていない。 「身重の妻がいるなか、退職や絶縁のゴタゴタで人生をめちゃくちゃにされた思いが今も拭えません。どん底の頃は『いっそ自分が死んでしまえば楽になるかも』という気持ちもよぎりました。 ドラマで亡くなる直前の親が病床で謝って和解する、みたいなシーンがありますけど、そんなことをされても絶対に許さないので、とっとといなくなって欲しい。まあ、入院や死んだ報告もいりませんけど」 新しい家族と過ごす山村さんの幸せを願うばかりだ。 <取材・文/松嶋三郎>
浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。Twitter:@matsushima36
1
2
【関連キーワードから記事を探す】