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子供っぽい40代の増加は「ライフスタイルの多様化と晩婚化が要因」

四十路目前の3人が語る”40歳”になるということ

欲望に見切りをつけ諦めることそれが人を大人にする

 いつまでも若い、そしてある意味、子供っぽい40代の増加傾向について、「ライフスタイルが多様化し、晩婚化が進んだことが大きな要因」と話すのは、哲学者で津田塾大学准教授の萱野稔人氏だ。

「これまでの『30歳までには結婚して子供を産んで、家庭を築くのが当然』みたいな、暗黙の社会的規範が薄れ、今は晩婚や未婚がマイノリティではなくなってきた。それは、社会の都市化が進み、社会保障制度も充実するなどして、男女問わず、家族に依存しなくても生きられるようになったから。結婚が人生の必須条件ではなく、選択肢のひとつになれば、結婚によって背負う数々の責任を回避し、自由に生きられるようになる。当然、若くもなりますよ」

 実際、年齢別の未婚率の推移を見ると、2005年の40~44歳の未婚率は、1980年の30~34歳と同水準(上表)。都市部と地方の40代の印象が異なりがちなのも、同じ理由だという。

 そしてさらに、「結婚も含めた人生の各段階における”通過儀礼”の喪失が、人を大人にすることを難しくさせている」とも。

「大人になるって、諦めることでもあるんです。かの精神分析学者フロイトは、これを”去勢”と呼びましたが、自分の欲望に見切りをつけ諦めていく過程……それが、大人になるってことなんです。しかし今、こうした通過儀礼自体がなくなりつつある。諦めるというと言葉は悪いですが、通過儀礼は”人生の次のステージへの移行を促し、その都度、欲望の入れ替えを行う”という社会的機能もある。それが薄弱化し、判断が個人に委ねられたら、大人になれない、ならない人が増えるのも当然です」

 思えば、今の40代が思春期を過ごした’80年代は、抑圧に対する抵抗が強かった時代である。

「その反動もあってか、その下の世代は自由すぎることのマイナス面を見ている。抑圧って、押し付けではあるが、『面倒も見るよ』『それに従えば、社会からはみ出さずに生きていけるよ』ということでもあるから。今の30歳前後の世代が40歳になるときには、うまくバランスを取って、新しい”年相応”をまたつくっているのかもしれません」

 いずれにせよ、その年になってみなければ、イメージとのギャップなどわからない。ただ、自由に生きるか、欲望に見切りをつけ、人生のコマを進めるか……選択は自分でできるということは確かだ。

萱野稔人氏

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1970年9月22日生まれ。哲学者、津田塾大学国際関係学科准教授。
著書に『暴力はいけないことだと誰もがいうけれど』『権力の読みかた――状況と理論』など


◆あの人の40歳のとき

田中角栄 39歳で岸改造内閣・郵政大臣就任

三船敏郎 映画『用心棒』主演

力道山  享年39歳

◆四十路格言

人生はその生涯の40年間で本文を著述し、これに続く30年間において、前述についての注釈を付加する。
ショーペンハウエル

40歳は人生の正午である
ユング

40歳は青年の老年期であり、50歳は老年の青年期である
ユーゴー

戦は40歳より内は勝つように、40歳より後は負けざるようにすべきだ
武田信玄

取材・文/加藤カジカ 田山奈津子 藤原哲平 鈴木靖子(本誌)
取材/星野峰子

― 最近の40代は子供っぽ過ぎる!【8】 ―

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