R-30

相手を傷つけずに自分の言いたいことを伝える技術

◆自分の思考のクセを把握できれば、“職場ストレス”は軽減できる!!

佐藤恵美氏

佐藤恵美氏

 前回の記事(※)で、職場の対人ストレスの大きな原因は、コミュニケーション不全が招いた“孤立化”にある。そして、それを解消するためには“社内での環境づくり”が大切なこともわかった。

※「ストレスフルな職場」はこうして生まれる
http://nikkan-spa.jp/342102


 しかし、精神保健福祉士の佐藤恵美氏は次のように話す。

「職場での孤立感や『自分だけがツラい!』といった負の感情を打破するためには、自分の思考のクセ、仕事観を変える必要もあります」

 思考のクセとは、物事に対する考え方のパターンのこと。

「負の感情が湧いたら、それに紐づくマイナスの思考に気づいて修正すると気持ちがラクになり、ストレス負荷を軽減できます」

 ストレスを増大させる思考のクセは、「大きく6つに分けられる」とか。その内容については下記を参照していただきたい。

<認知的ストレス診断>

●一般化しすぎる
たった一回の経験を「いつも」「何もかも」とすべての事象に通じるように考える。「嫌な体験ばかりが起こる」と、滅入る

●不安を先取りする
起きていない嫌なこと(不安)を想像して落ち着かなくなり、確証もないのに相手の感情を決め込み、攻撃的な気持ちになる

●~べき思考
物事を「~べき」「~べきでない」と考え、その基準に自分を当てはめてしまう。周囲にもこの基準を当てはめ、憤る&怒る

●論理の飛躍
全く根拠がないのに、起こった出来事に対して、論理の飛躍した悲観的な結論を出す。不安を先取りするタイプのひとつ

●過度に自分を関連づける
自分に責任がない場合でも「自分のせいだ」と関連づけて考え、その考えにとらわれる。生産的な考えに切り替えられない

●オール・オア・ナッシング思考
いつでも100%でなければならないと考えてしまい、考え方に柔軟性がなくなる。周囲と意見を調整することが難しくなる

<対処法>

1.いつもの認知のクセと別の視野で考える

2.相手の立場になって大きな視点でキャリアを考える

3.溜め込めすぎずに棚上げすることも必要

 では、クセを知ったうえでどうコミュニケーションを取るべきか?

「相手を傷つけずに自分の言いたいことを伝える“アサーション”という技術があります。アサーションには“5つのポイント”があります。例えば、上司から資料作りを依頼されたとき、別の仕事で手いっぱいだとしましょう。そんなときは……『今、金曜に必要な資料を作成中です』(<1>状況の描写)、『この仕事は最後まで責任を持って仕上げたいのです』(<2>気持ちの表現)、『○○さんのプロジェクトも面白そうだと思っていました。声をかけてもらって嬉しいです』(<3>相手への理解)、『金曜午前中にMTGが終われば、資料作りに着手できると思います』(<4>考えや希望)、『一度、火曜にラフを仕上げるというのではいかがでしょうか』(<5>提案)……といったような対応をすると相手の受け止め方も良くなるはずです」

 自分の気持ちを溜め込むことがストレスの元凶。アサーションを心がけることで職場での対人関係もスムーズにいくというわけだ。

◆仕事の視野を狭くすると“やらされてる感”が高まる

 そして最後に、「自らの仕事の視野を広く持つことも重要」と佐藤氏は続ける。「どんな仕事でも自分の手元だけを見ていると煮詰まる。対上司、対部下とのやりとりだけで仕事を捉えるから押し付けられた感が強まるものです。現在進めている仕事が『全体のなかでどんな役割になっているか/ユーザーにどう役立っている?』、『自身のライフ・キャリアデザインや自己成長にするためには?』などを、意識的に考える習慣をつけてみてはどうでしょうか。仕事とはどういうものなのか――。ごく身近な悩みに翻弄されがちですが、大局的に仕事を見ると、社会的な存在としての自分の位置を把握でき、ブレないでいられるようになれます」

 どんなことでも捉え方次第でストレスにも成長の糧にもなる。仕事を通して自分のクセ&思考を改めて見つめ直してみる……こんな姿勢が職場ストレスを軽減するための第一歩となるのだ。

【佐藤恵美氏】
精神保健福祉士、臨床心理学家。医療現場・社内のカウンセラーとして個別面談で多くのビジネスパーソンと向き合う。著書多数

― [職場のストレス]を消し去る技術【3】 ―




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