探検作家・角幡唯介、GPSを持たずに北極を探検中
※さらに詳しいインタビューは12月11日発売の週刊SPA!「エッジな人々」にて
<本誌構成/土屋敦 撮影/アライテツヤ 再構成/SPA!編集部>
開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、稲田次郎文学賞などを総ナメにし、いまや日本を代表するノンフィクション作家の一人となった角幡唯介。彼は辺境の地を探検し、その道行きを文章に綴る「探検作家」である。新たな探検の形を求めて単独、北極へ向かう前日に話を聞くことができた。なんでも、今回はGPSも通信手段も持たずに行くそうだが……。
「GPSを使うと、北極にいる意味の重要なところが削がれちゃう気がするんです。北極ではナビゲーションを自分でやるのがすごく重要なことで、そこにゲーム的な面白さもある。『今、自分がここにいて、あとこれだけ距離があって、こっちの方向に行かなくちゃいけない』とか。それで、そのために移動に何日かかるかを常に考えて判断したり、食糧配分したりするのが魅力なんですけど、GPSで人工衛星に頼れば、目的地まで何kmってところまで全部答えがでちゃう」
さながら攻略本を見ながらゲームをしているようで、「自力感」がないのだという。また通信手段を持たないことも、今回の探検の重要ポイントだ。
「人間の社会から遠く離れた、もう周囲何百kmも人間がいない本当のウィルダネス(荒野)の中に入るというのが北極の魅力なんですよ。電話があるとその条件がなくなっちゃいますから。『あるものを使わないのは意味がない』と言う人もいるけど、『何を求めるか』ですよ。単純に『どこかに行くこと』だけを目的にしているなら、別に何を使ってもいいんだろうけど、僕の場合は、自然の中にどうやって入りこむか、『生と死がない交ぜになって存在している場としての自然』にどうやって身を置いて旅をするかが重要なので」
今回の北極行では太陽が昇らない世界である「極夜」を体験してくるという角幡。これもまた「システム」の外側にある世界を見てみたいからだという。今頃、暗く極寒の氷の上を歩いているだろう彼は、何を感じているのだろうか。
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