わいせつ事件の供述調書がガチでエロい
新聞報道では「ムラムラしてやった」などと書かれることが多いわいせつ事件。しかし、実際は事細かに供述を取っており、元刑事の小川泰平氏は「強姦事件の調書は、そのへんの官能小説よりよっぽどリアルですよ」と週刊SPA!の特集(2/5・12合併号「事件報道の[ありがち用語]ウラ読み辞典」)で語っている。
いったいどれくらいリアルな描写なのか? 調書の現物を見ることは難しいが、その内容をうかがい知ることのできる資料があった。捜査官向けに供述調書の書き方を解説したマニュアル本に、見本として具体的な調書の事例が掲載されているのである。
たとえばマンションエレベーター内において6歳の少女にわいせつな行為をしたという事件の調書に記された被疑者の供述は、こんな具合。
「私は成人女性に興味があるものの、セックスした経験がなく27歳の現在まで、女性との肉体関係がなく童貞であり、過去に見たセックス描写のビデオの女優の性器があまりにも汚い色であったことから、数年前から毛の生えていないきれいなおまんこを見てみたい、触ってみたい、運がよければセックスをしてみたいという気持ちが強くなりロリコン趣味になっていったのです。(略)私は、女の子の後ろ姿を見ていて身体を触ってみたい、おまんこを見てみたい、悪戯がしたいという欲望が強くなり、どうにも抑えることができず、女の子の後をついて行ったのです。(略)触っていいと聞いたところ、女の子は頷いた様に見えたので右手で、女の子の右の内側の太股を触り、更にパンツの中に手を入れおまんこを触りました」(小黒和明・高瀬一嘉・佐藤光代・佐藤美由紀共著/近代警察社刊『供述調書作成の実務 刑法犯』より)
……いやはや露骨というか何というか。こうした記述例に対し「なぜ、幼児に興味を抱くのか、性経験等からその経緯を聴取し、本件が被疑者の性癖の発露であることを明確にする」「相手の反応・態度を録取することにより、畏怖状況を鮮明にする必要がある」といった注釈が付いているのもなるほどだ。また、被疑者が「お医者さんごっこ」について「私が意味するお医者さんごっこは、治療と称し、裸にして、女の子の身体を触ったり、おまんこをいじったりする事でした」と説明を加えている箇所には「抽象的な言葉は、具体的内容を明らかにするように心がける必要がある」との注釈が。供述調書においては、とにかく具体的かつ詳細に書くことが求められるわけで、そりゃ描写もリアルになろうってもんである。
被疑者だけでなく、被害者側の調書も負けず劣らず生々しい。路上での強制わいせつの被害にあった21歳の女性の調書はこんな感じだ。
「男は、なおも私の後からしがみつき、多分右手と思いますが私のお尻の方から陰部へ手を回し強く握っています。【注5】今日私はスカートをはいていましたがパンティー、パンティストッキング、ガードルを着用していますので、触られたのはこれらの上からになりますので男の指を入れられたり怪我をしたりはしていませんが3時間も過ぎた今でも強く握られたせいかおかしな気持ちです」(宮田正之編著/立花書房刊『新供述調書記載要領』より)
で、【注5】の部分には「『陰部へ手を回し強く握っています。』と記載しているが、もっと具体的な記載が要求される。スカートの上から触られたのか、スカートの中に手を入れられ、パンティの上から触られたのか、また、握ったというが、どこをどのように握ったのか。犯行状況の記載であるから詳細に記載すること」とのダメ出しが。捜査や裁判のために必要なのはわかるけど、こんなことを事細かに聞かれる被害者はたまったもんじゃないよなあ。
もちろん、上記の書籍にはわいせつ以外の事件の調書記載例も各種掲載されている。どれもこれも具体的かつ詳細に書かれていて、これに比べたら自分たちの取材や記事はツッコミが浅かった……と妙な反省をしてしまうほど。これって現実にあった事件の調書を参考にしてるのだろうか? もし完全な創作だとしたら、著者らの想像力と描写力がすごすぎ! いっそ推理小説でも書いてみてはいかがでしょう!? <取材・文/新保信長>
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