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「地方議員は政党のコマじゃない」ドキュメンタリー映画『選挙2』主演が語る無所属のメリット

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自ら選挙ポスターを貼る山内氏(映画『選挙2』より)

 ’07年に公開された異色のドキュメンタリー映画『選挙』(監督/想田和弘)。自民党の公認候補として’05年の川崎市議補選に立候補した「山さん」こと山内和彦氏の選挙戦の様子を追った迫真の映像は、日本の選挙の奇妙さを如実に映し出し、海外でも話題を呼んだ。

 その選挙で山内氏は見事当選を果たし、任期満了まで務めるも、次の選挙(’07年)には出馬せず。しかし、2011年、あの震災後に行われた統一地方選に今度は完全無所属で再出馬。その姿を再び想田監督が映画化した『選挙2』が、7月6日よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。

「まず作品にならないと思っていたのに、こうして公開される形にできあがったということに驚きました」と笑うのは、二度目の“主演”となる山内氏。

「今回は(自民党公認候補だった)前回と違って、いわゆる選挙運動を一切やりませんでした。選挙カー、選挙事務所はもちろん、街頭演説などもなし。自分の主義主張を選挙ポスターと選挙公報に載せただけで終わりです。だから、僕が何かやることを観察するつもりでいた想田監督には、ちょっと申し訳ないなとは思っていたんですよ。さすがにあまりにも気の毒なので、最終日だけ防護服を着て、街頭演説で自分の思いをぶつけました」

『選挙2』の公式サイトにも、防護服を着て街頭演説をする山内氏の姿がメインビジュアルとして掲げられている。キャッチコピーは「山さん、怒りの再出馬。」

「自分の求める政策を掲げる候補者がいなかったから、というのが再出馬の最大の理由です。原発事故直後で、(山内氏の地元の)川崎市宮前区でも放射能汚染の数値が高い状態で、この先どうなるかわからないときに、候補者の誰もそれを口にしないというのは変だと感じました。市民の中にもそう感じた方がいたと思います。でも、その選択肢がない。だから、その選択肢となるべく立候補しました」

 無所属での戦いは、組織の後押しがない代わりに、よけいなしがらみもない。そのメリットとデメリットを秤にかければ、メリットのほうが断然大きかったという。

「無所属は、すべてを自分のペースで進められることが最大のメリット。当然、自由に主義主張ができる。政党から出ると、政党の主張との整合性を考えなければならない。場合によっては、こんなことは言えないなどと自主規制もしてしまいます。また、お金の使い方にしても、政党や組織の求めるやり方に縛られない。今回は公費支出を受けず、ポスターとハガキ印刷代の8万4720円のみでした。地方議員は無所属でこそ、自分のやるべき仕事ができると確信しています。政党に所属して手助けをもらうと、そのしがらみのために議員としての仕事の時間を奪われるデメリットが大きいです。地方議員は政党のコマでもなければ、国会議員の下請けでもありません」

 しかし、そんな選挙戦の撮影から2年近く経っても作品はできず。やはり映画化は難しかったかと思っていたところ、突然、完成の知らせが届いた。

「何もやらなかった選挙にもかかわらず、<3・11後の社会>を映画ははっきりと映し出していました。想田監督が2年近く寝かせて熟成した意味を感じてもらいたい。映画のキャッチフレーズ『日本社会の限界と可能性』がそこに見えます」

 7月21日には参院選も控えている。まさにタイムリーな公開となったが、今度の参院選に関して、山内氏が有権者に訴えたいことは?

「まず、何が何でも選挙には行ってもらいたい。選挙に行くことは、自分の代わりに行政にモノを言う人、税金の使い道を決める人を選ぶことだから、義務ではなく権利なんです。その権利を放棄して、世の中や自分の生活が自然に良くなることはありません。自分の自由や生活を守るために、政治参加は絶対にしなければならないことです。その第一歩が選挙。もちろん、自分の意に添わない候補が当選することも大いにあります。それでも落胆する必要はない。当選されて議員になった方というのは、僕たちの税金から給料や政治活動費が払われ、僕たちに代わってさまざまな権力を与えられている人たちですから、遠慮なくどんどん働きかけるべきです。日本では選挙だけが有権者の意思表示の場と思われがちですが、選挙後も議員の活動をウォッチして関わっていくことが大切です」

 さあ、『選挙2』を観て選挙に行こう! <取材・文/新保信長>




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