馬淵民主党幹事長代行「アベノミクスは否定しない」

馬淵澄夫民主党幹事長代行,民主党

馬淵澄夫民主党幹事長代行

 2009年の衆院選の大勝から昨年の衆院選で大敗し、野党となった民主党。今回の参議院選挙のスローガンは「暮らしを守る力になる。」で、サブコピーは「民主党は再生の第一歩を、文字通り地域を歩くことからはじめました。ひたすら歩き、皆さんの声を聴く」だ。メインビジュアルは海江田万里代表が歩いているものとなっている。

 いわば、政権時代に「聴く」が足りなかったことを反省しているかのように見えるが、実際はどうなのか。今回の選挙で民主党はいかに戦うのか。現在参院選候補者の応援のため全国各所を周っている馬淵澄夫民主党幹事長代行に話を聞いた。

⇒【前編】馬淵民主党幹事長代行が政権時代の反省と問題点を分析

◆アベノミクスは決して全てを否定しない。ただ「車の両輪」で良い

――民主党は今回のマニフェストではアベノミクスに否定的なニュアンスがありましたが、馬淵さんは代表選の時に金融緩和をすべきだ、と言っていましたよね。まさにアベノミクスと同じ考えなんじゃないですか?

馬淵:そうです(笑)。党全体の方針とはやや異なるかもしれませんが、まぁ、そこは民主党の多様性だと思ってください。私自身、アベノミクスの金融緩和について、デフレ脱却の強い意志を示していることは評価していますよ。ただし、メディアが株価上昇の際にアベノミクスを礼賛しましたが、株価というものは一喜一憂するべきものではない。上がる時もあれば下がる時もある。市場ですから結果に右往左往してはいけない。

 私は全面的にアベノミクスに同意しているわけではないです。「3本の矢」と言いますが、経済政策は3つではなく、金融と財政の2つでいいと思っています。つまり車の両輪です。両輪だから順にではなく二つを同時に回す。なぜ安倍さんは3本と言わなくてはいけなかったのか――2本目の財政政策の核となったのが200兆円の公共事業だったからですね。これで終わってしまうと、公共事業は経済的な効果が薄いため、経済成長にはつながらないんですよ。だから、民間を刺激する3本目を打ったのでしょう。

 もちろん、金融と財政両輪を回すのは良いです。ただ、そこは「公共事業」ではなく、「成長分野」への投資の2つです。再三申しますように、金融緩和は重要。そしてインフレを期待させるような方向に持っていくのも私は賛成です。ただ、自民党の場合は政権与党時代、公共事業などで票をカネでガッと掴むような政治をしてきました。それが野党時代の3年間、まったくできなくなった。ようやく政権を取り戻して「よーし、やるぞ!」と古参の族議員たちは色めき立ち、業界団体からは期待の声が上がり、公共事業投資をやらざるを得なくなったのでしょう。

 昨年7月に民主党時代の閣議決定で「日本再生戦略」というものを作りました。これは円高やデフレを防ぎ、成長分野への投資を促すものでした。現政権はこれをすぐに実現すべきだったのですが、民主党が作ったからということでスルーしました。そして6月に発表された「日本再興戦略」ですが、これは「日本再生戦略」とほぼ同じ内容です。単に、民主党の案をそのままやりたかくなかったから半年間置いて、名前を変えたのですね。

――それの何が問題ですか?

馬淵:成長戦略を半年間たな晒しにしたということです。去年7月に閣議決定した内容のものですよ。名前はまぁ、良いでしょう。「日本再興戦略」でも良いですが、政権を取った直後の1月に、金融政策と同時に財政政策としてやっていれば、実体経済により早く連動する形で経済政策ができたと思います。

 アベノミクスに対する批判には、モノの値段が上がっても給料は上がらないというところにあります。まだ、実感ある経済改革にはなっていませんが、現段階でダメだといういうのは早い、という空気が有権者の中に少なからずあります。人々はなんとなく不安を抱いているかもしれません。我々のような対抗勢力はそれを指摘するのは構いませんが、批判をするのはまだ早いと思っています。

◆「ねじれ解消」は本当に国民を幸せにするのか

馬淵澄夫民主党幹事長代行,民主党――民主党はどこを重視した政策を出していきますか?

馬淵:いま、置き去りにされていることがありますよね。社会保障です。去年6月に、我々は社会保障の充実を図るための財源として、消費税率引上げを決めました。元々民主党は「消えた年金」5000万件を明らかにし、「今の年金制度ではもたない」と警鐘をならしてきました。それまで「100年もつ年金制度」などと言っていた政権の欺瞞を暴いたわけです。

「無暗に国民の不安を煽るな」という立場なのが安倍さん。それに対して国民の支援を受け、2009年の政権交代となったわけですね。民主党は社会保障の財源確保のために消費増税を決めましたが、これは自公も巻き込んで3党合意をしました。去年の8月には、「1年以内に年金の抜本改革をし、高齢者医療の見直しをしよう」と呼びかけた。それに合意したはずなのに、安倍政権は年金抜本改革は置き去りにし、衆院での予算成立後は3党の実務者協議すら開かなかった。あの時の合意は何だったのでしょうか……。

 年金の抜本改革・高齢者医療の見直しを行い法的措置を講ずる期限は8月21日です。今は選挙中ですし、臨時国会が始まってもさすがに8月21日までに法整備は無理でしょう。安倍さんの経済政策はすべては否定はしません。ただし、経済の成長と安心の仕組みは同時に手をつけなくてはいけないんですよ。年金、社会保障は安倍さんの頭にはないのではないでしょうか。

――だとしたら有権者に訴えたいことは何ですか?

馬淵:今回、与党が争点としているのは「ねじれ解消」ですが、有権者の皆様には、「ねじれ解消こそ幸せへの道!」というだけで票を投じるのは危険ですよ、と事実を突き付けていきたいですね。本当に今の与党が考えていることが生活者にとって良いのか。まさに「衣の下に鎧が見えている」といった状態で、憲法改正、雇用規制の改革、ホワイトカラーエグゼンプション(簡単に言うと「サービス残業合法化」)、労働市場の自由化(会社都合による首切り自由化)など、多くの生活者にとっては歓迎すべきではない制度を作ろうとしているのです。

――民主党はいま、どんな状態ですか?

馬淵:民主党はまだダメだ!――これは認めますし、甘んじます。ただ、はっきりストップかけるところはかけます。正すべきは正してまいりたいと思っています。政権を取った野党は民主党しかありません。だから民主党がきっちりと少しでも議席を取って巨大与党に対峙し、なし崩し的に社会保障が置き去りになるような事態を避けたいです。  <取材・文/日刊SPA!取材班>




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