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細野豪志幹事長が語る「自民党と民主党の違い」

細野豪志,幹事長,民主党

細野豪志幹事長

 参議院選挙も終盤に入ったが、新聞等の中間予測では「自民圧勝」となっている。一度は政権を取ったものの、昨年の衆議院選挙で大敗を喫し、今回もまた苦戦を強いられている民主党。党幹事長として選挙の陣頭指揮を執る細野豪志氏は現状をどう見ているのか? なぜ衆院選では大敗したのか? そして、安倍晋三総理との「Facebookでの議論」についても聞いてみた。話は「権力の恐ろしさ」「自民党と民主党の違い」などにも及んだ。

――政権を失ったわけですが、現在の反省点ってどこにありますか?

細野:なんといっても党が分裂したことにあるでしょう。それによって、官僚機構に対してのマネジメントができなくなってしまい、やりたかった政策ができなくなってしまいました。ほかにも色々ありますが、大きな節目は、3.11だったと思っています。3.11の時に、これまでの公約や、民主党としてこだわったことは一旦サラにして、きちんと被災地復興・原発問題に取り組むべきだと思ったわけですね。その判断は間違っていなかったと思っています。

――震災から1年が経った2012年には立て直しがそろそろできたのではないでしょうか?

細野:切り替えをするのがヘタでしたね。予算の使い方にしても、公共事業中心から、教育や福祉など人を大事にする方向にもっていきたかったのです。これを実現するための手段として消費税増税がある――それこそが民主党らしさだったのですが、これをキチンと伝えきれませんでした。あくまでも「消費税増税をする」というところだけがクローズアップされました。しかしながら政権を失ったのは、私達が国民を落胆させたからです。そこは党としても反省をしています。

――ネット選挙が解禁になりましたが、どんな思いがありますか? 細野さんは積極的に活用している印象がありますが。

細野豪志,民主党細野:党首討論などがネットで行われ、有権者が賞賛も批判も書けるようになったのは良いことではないでしょうか。ただ、私がつい苦笑してしまったのは、自民党のネット戦略局長の平井卓也さんが社民党の福島みずほ党首の発言時にニコニコ生放送で書いた「黙れ、ばばあ!」というコメント。一般のユーザーがするのならまだしも、議員本人がやっているのだから、私は「エッ」と衝撃を受けました。いくらそんなこと言いたくても、普通、議員だったらあんなこと書かないでしょ?

 ああいう感覚で議員がコメントを出すというのは、「たまたま」バレたということではなく、以前からやっていたのでは? なんて疑われても仕方ないんじゃないですかね。悪口を書くだけってのはいびつですよね……。せっかくネットに書きこめるのですから、単に罵倒するだけでなく、お互い議論できるような噛みあうような形にしなくてはダメですよね。

 気になるのが、私のFacebookは選挙戦以前は様々な意見が飛び交っていたのですが、選挙戦に入ってから辛辣なものばかりになってしまったのです。こちらからキチンと答えようという建設的な議論になる質問ではないものが目立ちます。ただ罵倒するだけで、コミュニケーションが深まらないのです。

 私個人は批判されることは構いませんし、何を言われても構いません。そして、キチンとコメントも見ますが、それで萎えたり、ビビッたりすることはありません。私も随分昔にスキャンダルも経験していますから、まぁ、あの時は叩かれましたよ。今もですが……。いや、真面目な話をすると、私は何を言われてもいいのですが、民主党が目指しているものが伝わらないのは残念です。

――伝え方が悪かったのでは? だったら何を言おうとしていたのですか?

細野:自民党政権時代に疎外されてきた非正規社員の人が厚生年金や失業保険に入れるようにしてきましたし、若い世代の教育も充実させてきた。失業した人には求職者支援制度といって、働く準備をしながらある程度の生活の糧を提供する仕組みも作った。生活の基礎を作る取り組みをしてきたのです。そういう意味でも民主党こそ若者の味方なんですよね。そこが理解されていません。いかに我々がこの世代とコミュニケーションを取っていくか、ネットで発信したい世代とどう手を携えていくかというのが課題だと考えています。しかし、罵倒しかしない人とコミュニケーションするのは難しいものです。そうじゃない人が遠ざかってしまうのももったいないですね。

――ネットでの情報発信といえば、元外交官の田中均さんが新聞のインタビューで安倍政権の外交に対して批判的な意見を述べたところ、安倍総理が「彼に外交を語る資格はありません」とFacebookに書きました。すると細野さんも今度はFacebookで安倍さんに「最高権力者のあり方、表現の自由について考えるところがありました」と意見しましたよね。なぜあんなことを書いたのですか?

細野豪志,民主党細野:「あなたは外交を語る資格はない」――これは言いすぎでしょう。総理という最高権力者が「語る資格がない」と言われるとその人の発言の機会がなくなってしまいかねないし、他の人も萎縮して総理を批判しにくくなります。権力を持っている人は、それを行使した時にどんな影響があるか? をもっと慎重にならなくてはいけないのでは、と思ったのです。まさか総理からコメントをいただけるとは思いませんでしたが、その内容には唖然としました。

“かつて貴方はNHKで「自民党には戦争をやりたがっている人がいる」と言ってのけました。自民党、ひいては日本の政治の信用を貶めた人物です”

 私が言ってもいないコメントを勝手に書いて、断定口調で問いかけをしてきました。安倍総理というのは、二次情報を基に発言することもあるのですが、あれはやめた方がいいですよ。そんな発言をしたことはないと明確に否定しましたが、今度はお返事はありませんでした。総理もたいへんお忙しいでしょうから返事を毎度求めるようなことはしませんが、少なくともご自身が発言したことで事実と違うことは訂正した方がいいですね。

私は、交戦権を認めるということは戦争が出来るということで、それはよくないことだと一貫して言っているんです。それが伝聞により「自民党には戦争をやりたがっている人がいる」という発言をしたことになっていますので、そこはきちんと訂正してほしいですね。

――でも、総理だってご自身の発言に自信があるのでは?

細野:いや、NHKでの発言については私の方が正しいです。VTRでも観ればすぐにわかります。私が気になるのは、誤りがあったら訂正すべきだ、というのをジャーナリストやメディアがあまり言わない点にあります。先日も、時事通信社らが主催した「候補者討論会」を自民党が突然キャンセルしました。

また、自民党は最近もTBSに対し、自民党幹部の取材・番組出演依頼を拒否するとも通達しました。後に撤回しましたけどね。

 今、安倍総理・自民党がメディアに対して高圧的になっています。そういった態度に対し、ジャーナリストが異議を唱えるのではなく、折れているのは果たして健全でしょうか。討論会にしても、時事通信は「自分たちが悪い。準備不足でした」なんて言っています。「自民党が原因」とは言わないわけです。元NHKアナウンサーの堀潤さんはツイッターで自民党がキャンセルしたことを明かしていますが、どうして同じことができないのでしょうか。時事通信など巨大マスコミも圧力を感じているのでしょうね……。そこがイヤーな感じがしています。

――元々ネットのユーザーはマスメディアが嫌いですし、マスメディアこそ偏向報道をし、それに対して自民党・安倍総理は正しい対応をしている、と見る向きも強いですよ。

細野豪志,幹事長,民主党細野:そうですね。マスコミ批判をするとFacebookのコメント欄などで絶賛されますよね。「よくぞ言ってくれました!」「さすが、偏向マスゴミに釘を刺してくれました」と。そしてユーザーもこの状態を喜んでいますが、こうした圧力はいずれはネットにいってしまうかもしれませんよ。

 ネットの世界にだって、表現の自由は当然あるし、それを最も享受してきたはずです。現政権はその表現の自由に手を突っ込んでくる可能性があります。だから、ネットユーザーもマスメディアが叩かれているのを喜んでいる場合ではないと思います。

 選挙の後半で気になったのが権力の怖さです。やはり権力というものは強烈です。原発事故の時にそれは私も肌で感じました。原子力災害対策特措法上の指示権というのを総理が持っていて、それを行使すれば何でもできる。地方自治体や民間企業にも指示ができるし、もう凄まじい権限ですよね。それくらい強い権限を持つのだけれども、それはそういう特殊な事情だから持つのであって、けして平時に行使してはいけない。私は、権力の怖さというものを分かった人じゃないと、その絶大な権力を持っちゃいかんと思うし、安倍総理にはその感覚がちょっと薄いんじゃないかという危惧を感じます。

 今、若い人は圧倒的に自民党支持という話もありますが、自民党が過去にやってきたことって本来、若い人が喜ぶものではないですよ。公共事業のバラマキって、若い人にとってメリットはあまりないです。そのせいで借金が膨らんで社会保障や教育にかける費用にしわ寄せがきて、若い世代にとって決して良いことではないでしょう。派遣の範囲拡大や、限定正社員など、自民と維新は考えが近いです。企業がどれだけ利益を上げても、そこで働いている人たちが幸せにならないと意味がありません。

 若い人にとってどちらが良いかといえば、私は民主党だと思っています。高度成長期までは企業が儲かれば国民も儲かると言ってきたけれど、時代は変わって今は企業がいくら儲けたってそこで働いている人の収入にならない。そのことによって貧しい人が増え、経済全体はどんどんおかしな傾向に来ている。その矛盾に多くの人が気がついているはずなのに、支持するのはなぜか自民党となっちゃう。民主党の不甲斐なさも理由かもしれません。そこは我々も反省しなければなりませんが、ただもう一度われわれが大事にしてきている価値や考え方に光を当ててもらって、是非とも選挙へ行き、投票という形でご判断していただければと思います。

――自民党と民主党の違いを分かりやすくいうと何になりますか?

細野豪志,幹事長,民主党細野:自民党の場合は国が強くなるとか国防軍とか、どうしても「国家」が前に出ますよね。私たちが大事にしている価値はひと言で言うと「共に生きる社会」です。地域社会で安心して生活できること。職場では正社員と派遣社員が分断されるのではなく同じ働き方をしたら同じ給料や社会保障サービスを受けられるということ。そしてNPOなどがそれをつなぐ役割をし、社会自体の重層性を増すことによって初めて強い国になる。社会が強くなることで、国が強くなる。これは必ずしも大きな政府を意味するのではなく、公に貢献したい個人もすごく大事にしている。

 この考えを甘っちょろい、と言う人もいるでしょうが、私はやっぱり、それなくして社会は絶対に良くならないと思うし、その個人が持っている良心みたいなものを本当にしっかりと信頼をして、そこを後押しするのが民主党だと思っています。

――以前、Facebookに「国を大事にするには地域社会、家族を大事にしなくてはいけない」といったことを細野さんは書いていましたが、あの時は「お前が言うか」という声だらけでしたね。

細野:そうやって叩かれることは分かっていましたが、思ったことを言わないと政治家やってる意味ないでしょ? 本気で思っているんですよ。やっぱり家族があって地域があって、国があるワケです。いきなり国があるのはおかしいです。日本が中央集権型の国になるのは明治以降の話ですし、日本らしさは、地域主権にあると思います。というわけで、皆さん、選挙へ行きましょう! <取材・文/日刊SPA!取材班>




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