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クラウドゲームの可能性と儲けの仕組み

「クラウドゲーム」。まだ聞き慣れない言葉だが、大手メーカーのクラウド参入の発表で、来年以降ゲーム業界の流れに変化の兆し……!?

◆クラウドゲームの可能性と儲けの仕組み

新 清士氏

新 清士氏

 ハード要らず、ソフト要らず、ダウンロード要らず。アクセスするだけでゲームができるのがクラウドゲームだ。流行の『パズドラ』のようなスマホゲームは、ゲーム自体をダウンロードし、ダンジョンに入る際などにサーバーセンターからデータを送ってもらう必要があるが、クラウドゲームは動画サイトで動画を見る感覚でゲームができる。

「あと2、3年でゲーム業界はクラウドゲームが当たり前になっていくでしょうね」とゲームジャーナリストの新清士氏は分析する。それはイコール、ハードが売れなくなっていくであろうことは素人目にもわかるが、それではゲーム業界が自分で自分の首を絞めるようなものなのではないだろうか?

「そうとも限らないです。もともとファミコンやプレステといったハードはギリギリの値段で売って普及させ、ソフトの売り上げで儲ける、という仕組み。ハードの値段は最低限に抑えないと、買ってもらえなくなり、結果的にソフトも売れなくなりますからね。だから、このハードの部分の儲けがなくなったところで大きなダメージではありません。総合的な売り上げ自体は落ちても、利益は上がるとみていいでしょう。おもちゃ屋やゲームショップなど、モノを売っているところは打撃を受けるかもしれませんが」

 ハードだけではなく、ソフトも必要なくなるが、代わりの儲け方が出てくる、と新氏は続ける。

「ゲーム自体の単品販売や定額課金制、レンタル課金制、『パズドラ』でその効果が実証されたガチャなど、いろいろなビジネスモデルが考えられます。ただ、どれを取り入れるのが最も利益が出るのか、ユーザーが求めるのはどれなのか、これに関してはまだ探り探りで、クラウドゲームが増えてきてから固まっていくでしょう。ただ、『ドラゴンクエストX』の、月に1000円ずつ課金させるモデルがうまくいったので、これを踏襲していく可能性は高いです」

◆大手のクラウド参入は“技術デモ”の意味も

 現在配信されているクラウドゲームも、今後配信が予定されているものも、いずれもアクション要素の少ないゲームが目立つ。データセンターから端末へ送信される際に遅延が生じる問題が解決されない以上、配信内容に制限が出てきてしまう。

「ここがクラウドゲームの最大の問題で、RPGなどは例えばキャラのセリフの配信時に多少の遅延があっても、ユーザーが読む時間があるので大きなストレスにはなりませんが、コンマ何秒の世界のアクションゲームはクラウド配信に向いていません。とはいえ、世の中の流れを見たら、クラウド化していくのは間違いないので、ある種“こういう技術を持っています”と世界に見せる技術デモのような意味もあって、大手が次々参入しているのだと思います」

 クラウドゲームが主流になれば、スマホやタブレットなど、ネットに繋がっていればどんな端末でもプレイできるわけだが、これはゲームの間口を広げることにはなるのだろうか?

「それは大いにあり得ますし、今現在でも、スマホのアプリで気軽にゲームができるようになったおかげで、実はゲームのプレイ人口自体はすごく増えているんです」

 ライトユーザー取り込みの可能性が広がっているゆえに、各メーカーが勢い勇んでクラウド化を進めているということか。あとは、ライトユーザーの増加や、スマホで手軽になることで、ゲームの質自体が落ちないことを願うばかりだ。

【新 清士氏】
ゲームジャーナリスト。立命館大学映像学部非常勤 講師。著書に『ゲーム産業の興亡』(アカシックライブラリー)など

取材・文/朝井麻由美
― 「クラウド化」がゲーム業界を変える!【3】 ―

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