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人民解放軍をナメてかかると痛い目に遭う!? 軍事ジャーナリストが指摘

世界2位の軍事予算を惜しみなく注ぎ込んで、陸海空で軍備を続々と拡充している不気味な隣人・中国。その軍事圧力に真正面から晒されながら、なんでもありの情報戦と大胆な心理戦に翻弄されっぱなしの我が日本。防空識別圏の設定はいかにも唐突に見えるが、果たして中国側の狙いはどこに!?

◆人民解放軍が恐れるのは毅然とした日本の態度

 中国政府が尖閣諸島上空を含む東シナ海の広範囲に防空識別圏を設定したことを受け、やおら「日中もし戦わば……」の議論が盛り上がっている。数多の論者がさまざまな予想を発表しているが、SPA!は軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏の解説をもとに、日中の角逐の行方を追った。

◆人民解放軍をナメてかかると痛い目に遭う!?

中国人民解放軍

着艦できるのはヘリコプターだけと揶揄された中国の空母「遼寧」。写真:Imaginechina/アフロ

「日中の軍事衝突は、どのくらいの戦闘規模を想定するかという前提によって、結果はまったく違ってきます。国家の存亡を賭けた戦いになれば核戦力を持たない日本はあっという間に負けますが、尖閣諸島の沖合だけで展開される局地戦なら日本が勝つでしょう。南西諸島を巻き込んだ規模になってしまうと、どうなるかわからない。結局、自衛隊と中国軍のどちらが強いかは言いづらいんです」

 軍事評論家として煮え切らないジャッジになってしまう要因として、黒井氏はそもそも自衛隊vs中国軍の図式自体にリアリティが薄いためだと続ける。

「日本の防衛関係者に聞くと、『我々自衛隊と在日米軍』という日米がセットの意識なんですよ。海上自衛隊のP3Cなどによる対潜水艦哨戒能力は世界有数、艦隊防空の中核となるイージス艦は『こんごう』以下6隻を保有していますが、これらはアメリカ第7艦隊を補完するため。裏を返せば、海自の編成は日本単独での戦争を想定していないのです」

 軍隊であれば作戦の遂行にあたって必要な装備・人員・物資をすべて自前で賄う自己完結性を備えている。しかし、日本の自衛隊の海上防衛の主眼は敵潜水艦の速やかな駆逐と対艦ミサイルの迎撃であり、これはひとえにアメリカ空母の安全を図るためだ。黒井氏が「偏った編成」と海自を評するのは当然だろう。しかも、海自が自慢とする潜水艦対処能力ですら、増強一方の中国海軍の勢いの前には危うい。

「海自の潜水艦は静粛性に優れ、1対1のバトルならまず負けません。しかし、中国はすごい勢いで潜水艦を建造してあちこちの海域に配置していますから、数に劣る日本は完全に対処しきれない。そうなればアメリカの空母は航行の自由を制限される。’96年に中国が台湾近海でミサイル演習を実施した際、アメリカは空母インディペンデンスとニミッツを派遣しました。この威圧に矛を収めざるを得なかったことが、中国にとっては深いトラウマになっているのです」

 中国はたびたび尖閣諸島周辺の日本領海に漁船や漁業監視船を侵入させ、そのうえ防空識別圏の身勝手な設定となれば、海上防衛のみならず、自衛隊の防空能力も気になるところだ。日本は現在F15戦闘機を200機も調達しているがただの紙飛行機だったのか。

「実戦となれば早期警戒管制機の性能に勝る自衛隊が確かに有利ではありますが、安心はできません。事実かどうかは不明ですが、中国政府は、11月29日に中国が新設した『防空識別圏』で日本機に対してJ11とスホーイ30がスクランブルをかけたと主張しています。J11もスホーイ30も日米が配備しているF15やF2に匹敵する第4世代の戦闘機です。日本がアメリカから導入を決めている第5世代のF35ステルス戦闘機は圧倒的な性能ですが、これが配備されるまでは、中国をナメてかかってはいけません」

 F35の空自への配備は最速でも’16年末。中国がそれまで日本に猶予を与えてくれるワケは……ない。

【黒井文太郎氏】
’63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールドインテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。諜報、安全保障分野に詳しい。著書『インテリジェンスの極意!』

― [中国人民解放軍がめちゃくちゃ弱い!]理由【1】 ―

インテリジェンスの極意!

国の安全保障から企業インテリジェンス、公然情報の分析ノウハウまで、混沌の世紀を生き抜く技法・発想を、北岡元、佐藤優、大森義夫、太田文雄など20人のトッププロが伝授

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